警視庁は19日、昨年5月に発覚した国土交通省・東京運輸支局の検査官による不正車検事件で、本来は機械が検査結果を印字するタイプ検査票に特定の検査官が押印し、職権で検査を合格させていた疑いがあると公表した。押印による検査合格は結果を印字するプリンターなどが故障した場合や、検査ラインを通過できない特殊車両など一部に限られるが、それには該当しないケースでも押印による合格が確認できた。
これは不正車検事件を担当する警視庁・交通捜査課と大井署の調べで明らかになったもの。同支局から捜査のために任意提出された車両検査票を分析していたところ、本来は機械が検査結果を示す○やXを印字する欄に、ある特定の検査官が押印して職権で合格させたことを示す書類が複数枚発見された。
押印による検査合格の確認は、印字を行うプリンターが故障した場合や、検査ラインを通過することが物理的に不可能な特殊車両に対してのみ行われるが、発見された検査票の中には乗用車なのに検査ラインを通らずに合格したものや、各検査項目の全てで押印がなされたものがあった。後者の場合、全ての検査箇所で印字プリンターが壊れていない限り、実際はありえないもので、検査ラインを通らず、文字通りのペーパー車検状態で合格した疑いが濃厚だという。
書類に押印した検査官の名前は偏っていることも捜査で明らかになっており、今後は該当する検査官への事情聴取も行っていく方針。