過労運転は会社の命令!! 運転手だけてなく、勤務する会社も送検対象に

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兵庫県警は16日、昨年11月に姫路市内で起きた大型トラックの民家突入事故について、事故の発生原因が「運転手が極度の過労状態にあった」として、この運転手に過酷な労働を命じていた佐賀県鳥栖市内の運送会社の運行管理責任者を道路交通法違反(過労運転下命)の疑いで書類送検する方針を固めたことを明らかにした。事故を起こした運転手についても道交法違反(過労運転)で送検する方針。

県警によると、この事故は昨年11月1日深夜に発生した。姫路市内の国道372号線を走行中の大型トラックが道路を逸脱し、隣接する民家に突っ込むという事故を起こした。当初から事故の原因は運転手の居眠りにあるとみられていたが、その後の調べでこの運転手が事故の1カ月前から1日2〜3時間の仮眠しか取っておらず、事故の前日にはおよそ20時間の連続勤務を行い、同日未明に車内で30分程度の仮眠を取り、さらに業務を続けていたことがわかった。

運転手は警察の調べに対して「会社の命令だった」と供述。この運転手が勤務する運送会社の運行管理者から事情を聞いたところ、「不況の影響もあり、多少の無茶をしないと稼げない。無理な運行ダイヤであるとは認識していたが止むを得なかった」と供述。会社が運転手に過酷な勤務を命じていたことを大筋で認めた。

兵庫県警では扱いを慎重に検討してきたが、「運転手は会社の業務命令に従っていたために事故を起こしており、運転手にのみ事故の責任を追及するのは酷である」という判断に達し、会社に対しても道交法違反(過労運転容認)を適用することを決めた。

昨年6月の改正道交法施行以後、下命や容認については罰則を強化し、さらには運用上では従来よりも適用しやすくしたが、改正以後に兵庫県内で適用されるのは今回が初めてだという。

《石田真一》

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