【Winがクルマにやってきた】意外!? 黒子に徹する控えめなMS

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ユーザー(メーカー)によるGUIの自由なカスタマイズを特徴とした『Windows CEfor Automotive』の採用により、同じOSを使いながらも見た目は全く異なるものになったトヨタ『G-BOOK』と、ホンダ『インターナビ・プレミアムクラブ』搭載機。しかしながら、GUIのカスタマイズだけで思想まで違ってくるものなのか。

「パソコンでは使い勝手を考え、基本的にどのメーカーも同じユーザーインターフェイスを採用しています。だけどクルマではそれよりもメーカーの個性が優先される。トヨタにはトヨタの、ホンダにはホンダの“らしさ”を出すことが求められます。そのためWindows CE AutomotiveではUI、つまりユーザーインターフェイスを短時間の作業で自由に変えられるようにしました」と、日本での開発担当者である平野部長は語る。

「同じメーカーでもそれはいえます。例えばトヨタで『カローラ』と『セルシオ』はきっと同じ画面というわけにはいかないですよね。それができないようならばメーカーは首を縦に振ってくれない。操作性という面でも若者向けのクルマと中高年向けのクルマでは違っていて当然です。我々はこれを服を着替えるかのような感覚で自由に変えられるようにしました。これはUIを始めとしたシステムの個性を表現する部分をアプリケーションゾーンとしてOSとは完全に切り離したからです。OSはあくまでも土台としてシステムの根幹を司り、その上に建つ構造物(アプリケーション)は自由に作れます」と続ければ、営業担当の清水氏は「パソコンアプリやOSでは目新しくない機能になってしまいましたが、組込型OSの常識ではUIの変更は時間とコストがかかる大仕事でした。つまりユーザーが容易に変えられることこそ非常識だったのです」と笑う。

これまではUIを変えるぐらいの作業でもOSの構造から見直し、一から見直す必要があったという。あのマイクロソフトをして「専門の部隊」と語るように、多人数が非常に長い時間を掛けて取り組み、それが動くかどうかはテストするまでわからないといった状態だったようだ。それがドラッグ&ドロップでボタンを配置し、30分もあれば改変可能というのは、正に“革命的”といった感じだろう。

アプリケーションは何もカーナビ部分だけに限らず、例えば同じディスプレーに表示するものであればカーエアコンなどのコントロールインターフェイスもここに載せることができる。もちろんインターネット接続やWebアプリなど通信機能、周辺ハードドライバの整備などはWindowsCEのもっとも得意とするところ、こうした機能を低コストで追加することが可能というのが汎用OSとして開発されたWindowsCE for Automotiveの強みである。

メーカーがそれぞれのカラーを独自のアプリケーション搭載で出していくことはもちろん、OSに直結したミドルモジュール(ブラウザ、音声認識エンジンなど)の選択もユーザー側に一任されている。「弊社の開発したミドルモジュールを採用するのも可能だし、独自開発のアプリケーションでミドルモジュール部分をカバーすることも可能。バイキングレストランのように選ぶことができます。企業の個性や、製品に反映した思想の違いが出ているとしたら正にその部分(清水さん)」というように、汎用でありながらメーカーごと、製品ごとに特徴を出すことができる。それが車載端末に多く採用されるようになった理由なのだ。

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《石田真一》

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