弁護士さんが事故の示談金を渡してくれない---大阪で起きたこんなトラブル

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大阪弁護士会は12日、交通事故の示談金として保険会社から330万円の支払いを受けたことを隠し、事務所経費に流用していた57歳の弁護士を業務1カ月停止の懲戒処分としたことを明らかにした。依頼者から「事故の示談が締結したのに、弁護士が預かったお金を渡してくれない」という請求が行われたため、弁護士会が調査した結果、これが事実と判明したという。

弁護士会の発表によると、この弁護士は交通事故被害に遭った大阪府内在住の女性の代理人となり、加害者側が加入する保険会社と示談交渉を行っていた。示談は一昨年の10月に終了し、直後に保険会社から慰謝料など330万円が支払われたが、この弁護士はこれを依頼者に渡さずに事務所経費に流用したという。

依頼者の女性には「まだ示談は終了していない」と嘘を言い続け、昨年4月まで示談金の引渡しを拒んだという。依頼人の女性が「示談成立を隠し通し、示談金を渡さなかったのは不法である」として、この弁護士の懲戒請求を弁護士会に求め、それを受けて調査を続けてきた。

この結果、弁護士本人は隠蔽を認めなかったが、示談金については「税金の支払いに資金が必要だったために流用してしまった」と認めたため、今回の処分を行なったという。この弁護士は今年5月、別の民事訴訟での和解金を同様に流用し、依頼者に渡さなかったとして3カ月間の業務停止命令を受けたばかりだった。

弁護士は自由業の一種だが、秩序を乱すような行動が確認された場合には申し出によって弁護士会が独自に調査を行い、その処分を検討・実施することが弁護士法によって定められている。依頼者などからの懲戒請求は綱紀委員会で調査され、その後は弁護士会幹部による懲戒委員会で処罰決定がなされる。弁護士会が発行する広報誌には、懲罰を受けた弁護士が実名で紹介されるが、最近はこのような横領ともいえるケースが特に目立つという。

《石田真一》

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