国道工事現場から見つかった謎のビール瓶の中身は戦闘用の毒ガスだった!!

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国土交通省・横浜国道工事事務所は6日、神奈川県寒川町内に建設中の「さがみ縦貫道」の工事現場から9月下旬に見つかった不審なビール瓶の中身が、第二次大戦中に作られた毒ガス「イペリット(マスタードガス)」と、催涙剤の「クロロアセトフェノン」の混合物だったことを明らかにした。作業員に謎の発疹が相次いだことから防衛庁に鑑定を依頼していた。

これは今年9月末、寒川町内に建設中の「さがみ縦貫道」の工事現場から液体入りの古いビール瓶が見つかったというもの。一部が掘削作業中に破損したが、その液体の近くで作業を行っていた作業員8人が10月1日以降、顔や足などに痛みを訴えて通院。いずれも痛みを伴う水ぶくれが顔や胸、足などにできるという症状が確認されたが、治療に当たった医師は「原因不明のため治療困難」としてきた。

現場が第二次世界大戦中、旧相模海軍工廠(こうしょう)があった場所ということもあり、同事務所で壊れていないビール瓶を数本回収し、防衛庁に対して内容物の鑑定を依頼していた。

この結果、中身が毒ガスとしてサリン被害防止法の対象物質として指定されている「イペリット(マスタードガス)」と、催涙剤の「クロロアセトフェノン」だったことがわかった。大戦中に本土決戦用として海軍が確保していた「黄1号乙」と呼ばれていたガスの可能性が高いという。

イペリットは焼いた辛子のような刺激臭からマスタードという別称もある「びらん性」、つまりは皮膚組織を損傷させる目的に作られた毒ガス。遅効性でわずかに触れただけで皮膚がただれ、水ぶくれができるという症状が今回の被害と共通しており、当初からその可能性が高いと指摘されていた。

同事務所では掘削中に瓶が大量に破壊されたと推測される残土を24時間の警備体制付きで監視しているが、今後はこの残土の処理を防衛庁に一任することも検討しているようだ。ただし、イペリットの無毒化には困難が予想されており、どのように扱われるのは現時点では確定していない。

《石田真一》

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