懲罰的な賠償金の支払いを裁判所は容認するか---泥酔トラック死傷事故

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1999年11月、泥酔状態で運転を続けていた大型トラックに追突され、車両火災で2人の娘を失った両親が、現在服役中の元トラック運転手の男と、トラックの所有者である運送会社を相手取り、総額3億5000万円の損害賠償を求める訴えを23日、東京地裁に起こした。飲酒運転を厳罰化で抑止することを目的とした危険運転罪が制定されるきっかけにもなった事件であるだけに、今後の審理が注目される。

この事故は1999年11月28日、東名高速道路で起きている。渋滞による混雑で停止していた乗用車に後から走ってきた大型トラックが追突し、漏れたガソリンに引火して両車が炎上。乗用車の後部座席に座っていた1歳と3歳の姉妹が焼死したというもの。事故当時、助手席で寝ていて逃げ遅れた姉妹の父親も重度のやけどを負い、現在も後遺症が残っている。

後の調べで、この運転手は当時大量の飲酒を行っていたことが発覚。道路交通法違反(酒酔い運転)と業務上過失致死傷容疑で逮捕され、その後刑事裁判で罪を問われたが、当時は飲酒運転に対する社会的制裁が適正になされておらず、この運転手は懲役4年の判決を受け、刑も確定。現在服役中となっている。

この事故がきっかけとなり、飲酒運転による事故を厳罰化で抑止するという動きが高まって、昨年12月の危険運転罪の施行、今年6月の道交法改正による飲酒運転の罰則強化などが進められた経緯がある。

今回の民事訴訟では総額3億5000万円を運転手本人と運送会社に請求している。このうち、2人が就労して得たと仮定する部分(逸失利益)の約8200万円は(事故で無くなった姉妹が生存していたものと仮定し、就労可能となる)18歳から、結婚して退職する32歳までの15年間、毎年11月28日(命日)に分割して支払うように求めている。

これについて原告は記者会見を行い、「私たちはお金が必要なわけではない。加害者にはなるだけ長期にわたって、償いの気持ちを表してもらいたい」と表明している。

ただ、ひとつ問題もある。通常の逸失利益であれば裁判所が支払いを容認する可能性は極めて高いのだが、今回は「被害者が18歳となる年から15年間、逸失利益を分割で支払うこと」を条件としている。日本の裁判制度では金額面も含めて懲罰的な請求を容認しておらず、「一括で支払え」と命じるのか、それとも遺族の意向を重視するのか、今後の審理で注目される。
《石田真一》

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