『モビリオ』の派生車種となる『モビリオ・スパイク』だが、エンジンは別のものが用意された。エンジン型式こそ「L15A」と同一だが、モビリオのツインスパーク「i-DSI」ヘッドに対し、モビリオ・スパイクはVTECヘッドを搭載している。
しかし、1.5リットルに新しいエンジンをわざわざ2種類も用意するのはなぜだろうか。
「街乗りで使い勝手がよく、燃費もいいi-DSIエンジンは、モビリオと言うクルマの性格にぴったりでしたが、今回は“遊び”のためのクルマということで、遊び道具をたくさん積んだり、高速で遠出をしたりというケースを想定すると、パワーがもっと必要であり、それに合うエンジンがVTECだった、ということです」と、第12開発ブロックの石川昌宏主任研究員。
シングルカム2バルブ、ツインスパークで燃焼効率を上げ、レギュラーガソリン仕様としてはほぼ限界の10.8まで圧縮比を高めたi-DSIは、低速トルクが太いため燃費が良く、街乗りでの使い勝手が良いが、逆に高回転域では、高圧縮比と2バルブが災いし、ピークパワーは望めない。そこで、4バルブのVTECエンジンなら、ということだ。
コストの問題もあるのか、とたずねたところ、「逆にVTECの方がコストが掛かっています。高いからi-DSIを使わなかった、ということはありません」とのこと。
ちなみにこのVTECエンジンは、『シビック』に搭載されている1.5リットルVTECエンジンとも違う。ホンダのエンジンは、クランクの回転方向が逆であることが知られているが、「グローバルグローバルスモールプラットフォーム」シリーズである『フィット』、モビリオ、モビリオスパイクはすべて正回転エンジンのシャシであり、シビックの“逆回転”エンジンとは違うものだ。