クルマを走行中のバイクに向かって故意に接近させ、バイクを運転していた少年の服などをつかんで転倒死させる原因を作ったとして、障害致死罪に問われた24歳の男に対する判決公判が福岡地裁で5日に開かれ、裁判長は懲役6年の実刑判決を言い渡した。
判決によると、問題となった事件は昨年3月12日の未明に発生した。福岡市西区内の市道を走行していた乗用車が並走していたバイクに接触。バイクに乗っていた少年2人は転倒した弾みで道路に叩きつけられる状態となり、全身打撲が原因で死亡した。
当初、クルマに乗っていた2人の男は警察の取り調べに対し、「バイクが突然接近してきた。避けることができなかった」と供述。運転していた24歳の男(現在は分離公判中)を業務上過失致死容疑で逮捕するに留めた。
ところがその後の目撃証言で事態は一変する。逮捕された男が運転するクルマは、事故に巻き込まれたバイクと少なくとも数分に渡って「抜きつ、抜かれつのバトル」を繰り返し、クルマはバイクに対して執拗な幅寄せを行っていたことが判明した。このことを2人の男に問い詰めた結果、同乗していた男が「無性に腹が立って、(バイクに乗っていた少年の)服をつかんだ」と供述。事故を起こす目的で故意に行った行為と認定し、2人を傷害致死容疑で逮捕することになった。
5日の判決で福岡地裁の陶山博生裁判長は、「幅寄せやあおり行為という非常に危険な行為は正当化できない。服をつかむなどは相手に被害を与える目的で行ったとしか言えず、極めて危険で悪質な犯行」と指摘。検察側の懲役8年の求刑に対し、懲役6年の実刑判決を言い渡した。
主犯格とされたクルマを運転していた男に対する判決はこれからだが、こちらも厳しい刑罰が与えられることは間違いない。