トヨタが提供する『G-BOOK』のサービスは、今年10月からスタートする。PDAや携帯電話から一部のコンテンツを利用することができる「G-BOOKライト」と呼ばれるサービスで、クルマでの使用は10月に発売予定の『WiLL VC』(と、仮称されている新型車の登場)まで待たなくてはならない。
トヨタによると、車載型端末でのG-BOOKコンテンツ使用は新型車に組み込まれたナビから始まり、2003年の春〜夏からメーカーオプションという形でG-BOOK対応純正ナビの販売が開始される予定となっている。その間、短く見積もっても約6カ月。情報端末というのは鮮度で売っていくというのが戦略の要であり、全く新しいコンセプトのものとはいえ、同型のナビを別のクルマに搭載するだけで半年も必要なのか。そのあたりの疑問を関係者にぶつけたところ、なんと意外な答えが返ってきた。
実は10月のサービス開始時点で装着される型と、メーカーオプションモデルとして準備されるG-BOOK対応ナビは別の型になるらしい。後者については現在も開発が進められており、関係者から聞いた話を総合するとさらに高機能化した「第二世代」に変化するようだ。現在のモデルでは別の筐体に収められているデータ通信モジュール(DCM)を小型化するとともに、新しいパケット通信規格(CDMA2000 1xEV-DO)を採用することが柱になるとみられる。
DCMの内部にはCDMA端末が内蔵されているが、現状の筐体はかなり大きい。折りたたみサイズの携帯電話を横に3つ並べた程度の大きさがある。防振や防温のため、オーバースペックともいえる保護をしたとも考えられるが、これを従来のクルマに後付けするにはスペース的にも難しい。そこでメーカーオプション設定モデルでは小型化する必要に迫られている、ということではなかろうか。
また、データ通信に特化し、安価な定額料金が設定される「CDMA2000 1xEV-DO」を採用することによって、より多くのユーザーに対して「安いG-BOOKをアピールする」こともでき、カーテレマティクス分野でのイニシアティブを握るという狙いもあるようだ。
「まだ先の話ですよ」と言いつつ、通信モジュール進化というのは現実的な話だ。G-BOOK基本料金は通信費込みで1000円を切る(オートアスキー予測は800円)と言われる低価格の秘密は「CDMA2000 1xEV-DO」の採用にあるのかもしれない。