葉を隠すなら森、盗難車を隠すなら? 税関が水際作戦で食い止め

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富山県警と大阪税関(伏木税関支署)は29日、新湊市の富山新港に停泊しているカンボジア船籍の貨物船から、盗難車を含む密輸出車33台が発見されたことを明らかにした。これらは正規輸出許可のある中古車で覆い隠すように搭載してあり、最初から密輸出する意図があったとみて関税法違反容疑などで船内の立ち入り調査を行なっている。

この船はロシアの海運会社が所有するカンボジア船籍の「マルチナ号」で、20日に木材を運ぶためにロシアから到着し、復路は日本で買い付けた中古車をロシアへ持ち帰る予定だった。搭載されていた中古車は142台だったが、大阪税関が書類と現車をチェックしたところ、中古車に覆い隠されるように搭載されていた高級乗用車2台と四輪駆動車1台を発見。車台番号からこれらが富山新港付近の中古車店から盗まれていたものということが発覚した。

さらに調べたところ、正規に輸出許可を出したものとは別の車台番号を持つ27台のクルマを新たに発見したため、不正に輸出を図ろうとした可能性が濃くなったとして、同船の出港許可を保留し、関税法違反容疑で船長らから事情を聞くことになった。

富山新港にはロシアの貨物船が多く入港し、船員が手荷物扱いで中古車を買い付けていくため、これを目当てとした中古車ブローカーが数多く集まる。その反面、大型の貨物船が入港する1−2週間前に富山県内で高級乗用車や四輪駆動車が盗まれるという被害も頻発しており、最近では税関が出港直前の船に再検査を行なうことも多くなっているという。今回の盗難車もこうした検査で発覚しており、税関では「犯罪を文字通り水際で食い止めることができそうだ」とコメントしている。

《石田真一》

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