警察庁は18日、今年上半期(1−6月)に全国の警察本部が検挙・摘発した暴走族メンバーの総数は3万9271人で、前年同期比で10.7%減少していることを明らかにした。ただし刑法犯罪などでの逮捕者は4050人で、これは前年ほぼ同水準だという。
摘発者のうち道路交通法違反で捕まったのは3万5429人で、前年同期比で11.0%の減少となった。しかし道交法違反でも「共同危険行為」に限ってみれば同3.7%の増加を示している。
全体の摘発数が減少する反面、窃盗や傷害などの刑法犯罪で摘発されるケースは急増しており、窃盗は14.6%増の1288人となった。集団暴走の認知件数も減少していることから、暴走族が暴走を行う時代から、刑法犯罪を積極的に重ねるという凶悪化が目立つ。
暴走族の凶悪化の背景には暴力団との癒着があり、みかじめ料名目の上納金を求められるため、やむなく犯罪に手を染めるケースもあるのではないかと分析している。ただし、癒着が激しいとされる宮城(仙台)や広島では、他地域に比べてひったくり犯罪などが目立たないという興味深いデータもある。
これらの地域では暴力団自身が暴走族を下位団体と見なしており、暴走族の刑法犯罪を発端とする警察の大規模摘発を恐れるあまり、暴力団員がメンバーに対して「こういった犯罪を行うな」と指導しているという見方も。暴走族も自由に走れる時代ではないということなのか。