広島県警は17日、庄原警察署地域課のパトカーが2人乗りの原付バイクを追跡中、一方的な思い込みから全く関係のない少年の実名を連呼し、止まるように呼びかけていたことを明らかにした。警察は「軽率だった、しかし止むを得ない」と釈明している。
この事件は15日の午前2時30分ごろ、庄原市内をパトロールしていた庄原署・地域課のパトカーが、ヘルメットをかぶらずに2人乗りで走っていた原付バイクを発見した。警察官が停止するように呼びかけたところ、このバイクがスピードを上げて逃走を開始した。パトカーに同乗していた警察官が、過去に同様のケースで検挙した16歳の少年に酷似していると思い、マイクを使って「ほら、○○。お前だとわかっているんだからな。逃げても無駄だぞ○○」と、この少年の実名を連呼した。バイクはそのままスピードを緩めようとしなかったため、これ以上の追跡は危険が及ぶと判断し、途中で中止した。
ところが16日になり、名前を呼ばれた少年とその両親が庄原署を訪れ、実名を出したことを猛烈に抗議するというトラブルに発展した。少年は「当日は自宅におらず、知人宅に泊まっており、暴走には及んでいない。人違いなのに名前を出され、犯罪者扱いされて迷惑だ」と激怒。友人から「お前、また警官をからかっていたのか」というような指摘を受け、名前を呼ばれていたことを知ったという。
警察では本人に対して「軽率だった」と謝罪しているが、その一方で「警察官が熱心さのあまりにやったこと。本人だと確認できていないのに実名を呼んだことはたしかに問題だが、転倒してケガを負う可能性もあり、停車してほしくてやった止むを得ない行為」ともコメントしている。