宮崎県高千穂町の町長(74歳)が飲酒後、エンジンを始動しない状態のバイクにまたがり、およそ2.5kmの下り坂を惰性で帰ったことつにいて、警察が「飲酒運転に当たらない」としたことがちょっとした議論を呼んでいる。
発端となったのは19日付けの宮崎日日新聞の朝刊に掲載された記事で、それによるとこの町長は16日の午後、1人で飲食店を訪れ、中ジョッキ半分程度のビールを飲み、店を出た。その後、店に来るときに乗ってきたバイクにエンジンを始動させない状態でまたがり、自宅まで約2.5kmの下り坂を惰性で帰ったというもの。
これが「飲酒運転に当たるのではないか」と、町民からの指摘が警察にあり、警察が町長に対して事実確認を行ったところ、そうした状態で家まで帰ったことを認め、自ら「飲酒運転をしてしまったかもしれない」と反省している事実を伝えた。これを受けた警察は「町長の行為は飲酒運転に当たらない」と判断し、町長の行為を不問にしたという。
エンジンの掛かっていないバイクを押して帰ったというのであれば、歩行者と同じ扱いになり、飲酒運転とは認められない。ところが下り坂を惰性で動くバイクに「またがって乗っていた」のであれば、常識的には今回の警察の判断こそ誤りということになる。
警察では「今までに違反をしたということもなく、本人もうっかりミスと認めているため、今回は注意するに留めた。警察官も飲酒運転の現場を確認していないし、状況がはっきりとわからない以上、違反容疑での検挙はできない」とコメントしている。
たしかに道路交通法の上では警察官が違反行為を確認しないと違反事実を問えない。今回の一件はこうした法の隙間で発生したともいえるが、これが町長でなく、一般住民だったらどういう扱いを受けていたのかが気になるところ。