【決算総括】大手3社を中心に好決算相次ぐ---今期は販売競争で明暗!?

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【決算総括】大手3社を中心に好決算相次ぐ---今期は販売競争で明暗!?
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自動車各社の2002年3月期決算は、全11社のうち8社が売上を伸ばした。軽自動車を除く国内の新車販売は390万台規模で低迷し、小型車『フィット』などヒットが続いたホンダ以外は販売台数が減少。しかし円安による為替差益と、北米市場での新車販売が順調だったことが追い風となり、トヨタ、日産、ホンダの大手3社は、そろって過去最高益を更新した。

連結ベースの純利益で、日産が12%増の3723億円と2期連続で過去最高益を更新。トヨタ、ホンダもそれぞれ6158億円(31%増)、3627億円(56%増)と過去最高を記録した。トヨタとホンダは売上高、本業の自動車事業のもうけである営業利益でも過去最高を記録。絶好調だった上位3社のうちトヨタは日本企業として初めて、本業以外の利益も含めた経常利益が1兆円を超えた。ただ、本業の収益性の高さを示す連結売上高営業利益率では、『フィット』が好調だったホンダ(8.7%)がトヨタ(7.4%)を上回った。

経営再建計画「リバイバルプラン」を前倒しで達成した日産は、営業利益は及ばなかったものの、資産売却などの結果、最終利益ではホンダを約100億円上回った。経営再建中で前期は過去最大の最終赤字を計上した三菱自動車とマツダも、最終黒字に転換。日野自動車工業も黒字転換を果たしている。

国内市場への依存度が高いバス・トラック各社は、苦戦を強いられた。いすゞは営業黒字こそ確保したが、経常損益は4期連続の赤字。日産ディーゼル工業も売上高が8.1%減と低迷を余儀なくされている。不採算部門の見直しなど、事業の再構築に向けた動きが一段と加速してくることになりそうだ。

自動車各社は概ね好調な決算で、今期も前期を上回る業績を予想している。しかし、好決算を手放しで喜ぶわけにはいかない状況にあるのも事実。前期の北米向け輸出を後押しした円相場が変調を来したからだ。決算発表が始まった4月末時点の1ドル=130円台から一時123円台に円相場が急伸するなど、前期とは打って変わって為替差損を警戒する声すら出てきた。さらに製造業の中で唯一の“勝ち組”セクターとあって、部品メーカーや素材メーカーへの値引き交渉も難しくなっている。

さらには、資産売却や従業員数の削減などリストラ策の余地も少なくなっているだけに、国内外で販売を拡大できるかどうかが好業績を続けるカギになる。こうした状況を踏まえ、新型車攻勢に拍車がかかっており、トヨタ自動車がミニバン『アルファード』、小型車『ist』(イスト)、マツダがセダン『アテンザ』などを投入している。各社間の売上競争が熾烈化してくるのは間違いなさそうだ。

《山口邦夫》

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