ワールドカップの試合が行われるのは夕方以降となるが、その間には街歩きを楽しんでみてはいかがだろうか? 編集部が勧める穴場は「北緯38度線の休戦ラインのギリギリまで合法的に接近してみる」ということ。今までは立ち入り禁止だったが、今年4月に可能となったのだ。そしてこれを紹介しているガイドブックはまだ存在しない。
それは韓国国鉄の京義線という路線の列車に乗ることだ。4月に臨津江(イムジンガン)−都羅山(ドラサン)間が延長開業し、これまでは一部の軍関係者しか通ることが許されなかった民間人出入統制線(民統線)を越えることができるようになった。新しく出来た都羅山駅は非武装地帯の直前に位置している。外国人観光客は有名な板門店(パンムンジョム)にも行くことができるが、一般の韓国市民にとって現状ここが立ち入り出来る最北端となる。
この都羅山に向かう列車は1日2本運行されているが、ひとつ手前の臨津江で立ち入り手続きを行う必要がある。ソウル駅を8時10分、または12時10分に出発する京義線の列車に乗り、終点の臨津江で下車。改札を出たところにある窓口で「都羅山立ち入り許可証」に住所、氏名、パスポート番号などを書き込み、担当の兵士に渡す。忘れないで欲しいのはここで帰りの乗車券も購入する必要があるということだ。
金属探知ゲート付きの改札を通り、都羅山行きの列車に乗り込むことになるが、列車の運転士が迷彩服であることには要注目。ここから先は兵隊が運転を担当することになる。それを見ただけで「すごい所に来た」と思えるだろう。
臨津江を出発してすぐに越えるのが、事実上の国境線となるイムジン川だ。列車はさらに5分ほど走り、終点の都羅山に到着する。ただし、現在は駅の周囲のみしか歩くことはできない。周囲は有刺鉄線でガッチリとガードされており、自動小銃を抱えた警備兵が鋭い目つきで見張っている。緊迫感漂うその独特な雰囲気を体験するのもいいだろう。日本のどこを探してもこれと同じような場所はまず無いのだから。