韓国滞在中、一度は行うことになるのがソウル−プサン間の移動だ。ソウル発着の場合でプサン方面に立ち寄る場合はもちろん、九州から海路で韓国入りし、その後にソウルを目指すというシチュエーションなら、この二大都市間の移動が必ず必要になる。
今、自分が空港にいるというのなら、一番手間がかからないのは空路による移動だ。ソウル−プサン間なら20分ヘッドでシャトル便が運行されている。前述したとおり、便数が多く、意外に空いているので予約が必要でない可能性が高い。国際線用の機材を回送させる目的の便に当たった場合、追加料金なしでファーストクラスやビジネスクラスのシートに座れるかもしれない。
ただ、韓国の金銭感覚で表現するなら「飛行機は非常に高い乗り物」なのだ。それゆえに韓国人が空路での移動を最終手段としているともいえる。というのも、地上を走るバスや鉄道などの公共交通機関の運賃が「それは本当ですか!?」と聞き返してしまうほどに安いから。
ソウル−プサン間で韓国国鉄の特急「セマウル号」を利用した場合、所要はおよそ4時間30分で2万9100ウォン(2900円)で済む。乗り心地は今ひとつだが、料金が一番安い「一般高速バス」なら1万7100ウォン(約1700円)、約5時間20分で移動可能だ。そんな激安の乗り物を使う生活を1週間していると、7万ウォン近い空路が「お金持ちのためにある乗り物」と思えてくるから不思議だ。
編集部としてお勧めなのは所要時間の把握がしやすく、乗り心地もよい「セマウル号」。目的地には大きな遅れを持つことなく到着し、リクライニングシートはJR特急のグリーン車並み。車内の案内放送では日本語を含む4カ国語で流れる。また、ワールドカップ期間中は車内に設置されたモニターに試合の様子が流れるよう、テレビアンテナを装備するとしている。
「乗り心地は気にしないから格安料金で…」という方には高速バスの利用になるが、前述した「一般高速バス」ではなく、多少料金の高い「優等高速バス」を利用した方がいいだろう。車内は横3列配置のシートになっており、こちらならゆっくりと眠ることもできる。ただし、渋滞が発生した場合には、目的地までの所要時間に影響することは確実なので注意が必要となる。
鉄道とバスには夜行便もあり、これらを利用した場合には宿泊費を浮かすこともできる。必要に応じていろいろな乗り物を使ってみるのも良い思い出のひとつになるのではなかろうか。