12日午後、神戸市東灘区内の国道43号線で、事故を起こして逃走中だった暴力団関係者と見られる男が、たまたま現場近くを通りがかったクルマのドライバーを拳銃のようなもので脅し、このクルマを運転させて現場からさらに逃亡するという事件が起きた。兵庫県警では銃刀法違反や拉致の疑いがあるとして、このクルマの行方を追っている。
警察の調べによると、事件が起きたのは12日の午後5時40分ごろから45分にかけてとされている。発端となったのは現場近くの交差点で起きた衝突事故だったようだ。5時40分ごろ、東灘区魚先南町の国道43号線の側道交差点付近で、暴力団関係者らしき者が運転するクルマが信号待ちをしていた乗用車に追突するという事故を起こした。
このクルマは衝突に気づいたが、そのまま止まることなく逃走を開始したため、ぶつけられた乗用車のドライバーが後を追いかけた。逃走したクルマは国道43号の本線合流部で強引にUターンしようとしたが、運転を誤って中央分離帯に激突し、動けなくなった。
乗っていた2人の男は事故を起こしたクルマを乗り捨て、たまたま現場を通りがかった女性運転のクルマ(赤いホンダ『オデッセイ』と言われている)を止め、拳銃のようなもので脅して強引に乗り込んで現場から逃走した。目撃者は後の取調べで「銃声を聞いた」と証言しているが、これを裏付けるかのように現場近くの防音壁から弾痕のようなくぼみも発見されている。
警察では拉致と銃刀法違反の疑いで、現場から逃走した男たちの行方を追っているが、この男たちは衝突事故の直前に別の暴力団関係者とトラブルを起こし、逃走する途中だったという目撃情報もある。また、脅されて奪われたクルマの行方も明らかになっておらず、運転していた女性の安否が心配されている。