大阪府警は7日、今年2月にトラック運転手が殺害された事件について、この運転手が殺害当時に乗っていたトラックにひき逃げされた男性が、自らに掛けた保険金を獲得する目的で起こしたものと断定。自殺した長男を含めて強盗殺人、死体遺棄容疑で被疑者死亡のまま書類送検したことを明らかにした。
この事件は2月8日未明に発生したトラック運転手殺害事件から始まった。大阪府豊中市の路上で、57歳のトラック運転手が何者かに襲われ、乗っていたトラックごと行方不明になった。その翌日の9日未明、同市の路上を歩いていた別の57歳男性がトラックにひき逃げされて死亡するという事件が発生。
その際に使用されたトラックは、行方不明になった運転手が乗っていたものだったが、この運転手自身は10日午後に箕面市の山中から遺体で発見された。司法解剖の結果、この運転手は行方不明になった直後に殺害されていた可能性が高いことがわかり、ひき逃げ事故を起こした際にトラックを運転していた人物が誰なのかが焦点になっていた。
警察ではひき逃げされた男性の長男から事情を聞いていたが、長男は「父親と別の第三者がトラック運転手殺害に関与していた可能性がある」という証言を行った直後、自宅近くのマンションから飛び降り自殺を図り死亡している。
警察ではその後も慎重な調査を続けてきたが、長男が友人に行ったという証言などから、一連の事件が保険金目的のために親子が共謀して行ったという可能性が高くなったとして、第三者の存在は無かったと正式に認定。親子をトラック運転手に対する殺人と死体遺棄の容疑で、長男に関しては実父の嘱託殺人容疑も付け加え、被疑者死亡のまま書類送検した。
父親は借金の返済のために自らに保険をかけて、息子が父親を殺害、息子は自殺、いっぽうトラック運転手はトラックを奪うために殺害された、ということだ……。