「メーカーオプションを付けたはずなのに、実際にはそれが装着されておらず、にも関わらずオプション代金だけは上乗せされている」ということを不服とし、フォードを相手に争っていた裁判が、なんと45万人規模の集団訴訟になってしまったという。アメリカの複数のメディアが報じている。
原告となっているのは、ライトトラックであるフォード『F150』の2000年モデルと2001年モデルのユーザーおよそ45万人。訴因は「装着されていなかったオプション代金を返還しろ」というもの。これらユーザーはF150を購入するとき、ディーラーなどからの勧めもあり、通常のラジエーターより頑丈な構造をしている耐久型ラジエーターのオプション装着するという契約を結んだとされる。
耐久型ラジエーターは生産ラインで装着されるメーカーオプション品で、取り付ける責任は製造メーカーのフォードにある。このような駆動系に関わるオプション品を装着する場合には、受注を確認した上で生産ラインに指示を行うため、ユーザー側に車両を引き渡すためにはそれなりの時間が必要となり、引渡しのためにクルマを輸送することも必要となる。
ユーザー側の主張によると、フォードは実際にはオプション品のライン装着を行わせる指示を出さず、通常のラジエーターを装着した在庫車両を出荷していたという。
耐久型ラジエーターでなく、通常のラジエーターが装着されていることに販売店が気がついた場合には、代金返還や追加装着で対処していたが、大半のユーザーはオプション品が装着されているものと信じており、今回のトラブルが生じるまでは自分のクルマにオプション品が装着されていないことに気づいてなかったとされる。
フォードはファイアストンタイヤの問題でユーザーの信頼度を随分と低下させてしまったが、この際にはタイヤメーカーに責任を転嫁することもできた。しかし、今回は自社の生産ラインが問題となっているだけに、その対処に頭を悩ませているようだ。