アメリカの自動車評論家の間では、フォードの『フォーカス』に対する戦略に大きな誤りがある、との指摘が相次いでいる。
フォーカスはフォード車の中で最もグローバルに売れているモデルであり、フォード建て直しの中心に置かれるべきクルマだ。しかしアメリカ市場でフォードは、レトロデザインの『サンダーバード』や高価な限定版ラグジュアリーモデルなどに力を注ぎ、フォーカスに注意を払ってこなかった。そして「時はすでに遅し」と見る意見が多くなっているのだ。
フォーカスはエントリーモデルとして充分な成功を納めたとされるが、業界で噂されてきたAWD(四輪駆動)バージョンは2005年に追加予定。もっと早くに販売が始められていれば、今年からアメリカで発売が始まる『ミニ』の競合相手にもなれたはずだ。また、コンパクトモデルとしてホンダ『シビック』の牙城にも食い込めたはず、と見る専門家は多い。
こうした人気モデルへの対応の遅さはフォードの特徴であり、例えばライバルGMグループがホールデン『モナーロ』をポンティアック『GTO』として販売すれば、フォードは『マスタング』の市場を奪われる可能性が大きい。
現在経営の建て直しを真剣に迫られているフォードにとって、すでにある人気モデルをいかに活性化させるかが焦点となるはずで、これまでの対応の遅れが大きなディスアドバンテージとなっている、と評論家などの懸念が高まっている。