とんでもないクルマがデビューした。フォード社のリンカーン・ブランド高級FRセダン『LS』を、あのマクラーレンがチューンしてしまったのだ。
最高出力350psの3.9リットルV8エンジンを搭載し、0-100km/h加速6.2秒という俊足を誇るこのスーパースポーツセダンは「まだ開発途上」だというが、ステージ1から3までのチューニング・プログラムと値段は決定している。いずれ全米のリンカーン・ディーラーでこの仕様を注文できるようになるだろう。
フォード本社があるミシガン州に本拠を構えるマクラーレン・パフォーマンス・テクノロジーズ社が、このスペシャル・チューニング・プログラムを企画・開発した。フォード社が開発し、リンカーンLSやジャガー『Sタイプ』に採用されているこのプラットフォームに、スーパーカー並みの性能を与えようと言うものだ。
ディーラー・レべルで行われるステージ1改造は、エンジンの吸排気系チューンと245/45-18インチのミシュラン・パイロットスポーツ・タイヤ&18×8インチOZ製特別デザイン・ホイールの装着。これで5000ドル。ことし夏からサービス開始だ。
この上のステージ2では、スーパーチャージヤ−装着をはじめとするエンジンのフルチューンとボディの補強、専用設計のローダウン・サスペンション装備、ブレーキ系の完全変更(前後とも対向4ピストンでディスク径は約2インチのサイズアップ)など、マクラーレン・パフォーマンス・テクノロジーズ社が入念に仕上げとテストを行うプログラムとなる。価格はプラス1万2000ドルで、ことし秋からスタート。内容を考えると破格の安値ではないか!?
そして、さらに6000ドルを追加すると、ステージ3として専用設計の6速マニュアル・トランスミッションが搭載される。このほか、完成車メーカーの仕事も数多く受注するASC社による内装のドレスアップなど、顧客ごとのスペシャル・オーダーにも対応するというから、これはもう完全なメーカー保証のスペシャル・チューニングだ。
「ただ、速いだけのチューニングではない」と、マクラーレン・パフォーマンス・テクノロジーズ社は強調する。「ステージ2/3は、走る・曲がる・止まるというクルマの性能のすべてをバランスよくレベルアップし、さらに大人の趣味の世界に訴える商品としての魅力を添えて送るチューニング・プログラムを提供する」とのことだ。
それでも、同社の工場のキャパシティから、ステージ2/3は年間500台ほどの改造にとどまるらしい。すでに注文が入っており、これは高級スポーツセダンのプレミアム・カーになるのでは? との予感充分。外観はさりげない変更だが、そのパフォーマンスは想像するだけで楽しい。メルセデスのAMG、BMWのMテクニックなどに続くスペシャル・ブランドとして定着するのでは、というのがブースでの感想だ。