クレーム隠蔽が事故を起こしたと---熊本『パジェロ』事件で三菱社員送検

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熊本県警は5日、2年前に熊本市内で発生した事故は、事故を起こしたクルマと同型の三菱『パジェロ』にブレーキの欠陥があることを隠蔽し、必要な修理を怠ったことが原因だったとして、当時三菱自動車で品質技術本部の市場品質部長を担当していた社員ら3人を業務上過失傷害容疑で熊本地裁に書類送検したことを明らかにした。

この事故は2000年6月20日、熊本市内を走行中のパジェロのブレーキが突然効かなくなり、信号待ちをしていたワゴン車に衝突するなどして2人が軽傷を負ったというもの。ブレーキホースに亀裂が入っていたことが原因でブレーキが動作しなくなったというものだが、その後発覚した三菱自動車のクレーム隠蔽で、事故を起こしたクルマと同型車に類似のトラブルが発生していたことが明らかになった。

該当車種について三菱自動車は正規のリコールを行わず、問題の生じたブレーキホースは定期検査などの際に極秘に交換されていた。しかし、新車購入当時のオーナーがクルマを売却し、中古車として流通していたものにはこの対策がなされておらず、事故を起こしたクルマもその一部に含まれていた。

熊本県警では、一連のクレーム隠蔽捜査が終わった昨年9月に捜査本部を設置。任意提出を受けたブレーキホースの鑑定などを進めていた。その結果、ホースに発生した亀裂から空包が入ることで油圧が低下し、ブレーキ能力が著しく低下することが判明した。これは三菱内部で隠蔽された同型モデルのクレームに関するものと一致しており、適切にリコールが行われていれば事故にはなっていなかったという結論に達し、今回の送検に至った。

《石田真一》

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