『豊田喜一郎伝』
非売品 発行:トヨタ自動車
第1章「父・佐吉と喜一郎」/第2章「学生時代と人間形成」/第3章「初の欧米旅行」/第4章「自動織機の研究と誕生」/第5章「機械製造の世界へ」/第6章「特許権譲渡交渉の外遊」/第7章「自動車工業への参入」/第8章「自動車事業確立へ向けた努力」……(目次より)
トヨタ自動車創業者、豊田喜一郎の伝記。没後50年を記念してトヨタ自動車が編纂したものだが、広報・宣伝媒体などではなく、貴重な調査・研究報告である。喜一郎の父・佐吉そして祖父・伊吉の人物紹介から本書は始まる。
トヨタ自動車創業者の豊田喜一郎であるが、その前の豊田自動織機時代の記述にページの多くが割かれており、またそれが必然であることも読むとわかる。そして現在のトヨタの基盤がその時代にできあがったと理解できる。
執筆陣は広範囲に渡って資料を集め、取材をしている。従来知られている豊田喜一郎に関する事象を、新たな資料をもって訂正している箇所もあり、非常に資料として価値が高いと思われる。非売品にとどめておくのは惜しいので、ここで紹介した次第。
さらに巻頭辞で張社長が、日本初の業界スタンダードを環境問題とすることが、次世代トヨタの「切り札」であると述べているところが、今の話題として興味深い。