新型M3はシャシーにE46型3シリーズのシャシーを強化して用いている。そしてBMWのどの新型車もそうなのだが、開発中にニュルブルクリンクで累計1万kmの過酷な走行試験を行なっている。
前後のトレッドはやや拡大され、高速コーナリングでトーアウトが大きくなるようなサスペンション・ジオメトリーになっている。つまりオリジナル3シリーズのハードウエアはほとんど残っていないというわけだ。サスペンションそれ自体は伝統的なサブフレーム・マウントで、前がマクファーソン、後ろが評価の高いBMW独特の「Zビーム」式である。
この部分にはアルミニウムが広範囲に使われている。ホイールは直径18インチ、幅は前8インチ、後ろ9インチ。タイアは専用に開発されたミシュラン製『パイロットスポーツ』、前225/45、後255/40。スプリング、ダンパー、アンチロールバーは専用設計。サスペンションのセッティングによって車高は15mm低くなり、重心を低くしている。従来のM3で印象的だったブレーキシステムはそのままで、ベンチレーテッド・ディスクの直径は前325mm、後326mm。この数字は驚くべきブレーキングパワーを約束する。
コーナリング性能については、BMWでは新型のために「DSCIII」ダイナミック・スタビリティ・コントロールを採用した。このシステムはABS、ASR(トラクション・コントロール)と連動して作用し、イグニッション点火時期を遅らせたり、オーバーステアを感知して特定の車輪にブレーキをかけるなど、さまざまな制御によって車体制御不能に陥ることを未然に防ぐ。感心するのは、この機能を好みによってオフにできることだ。