ジェームズ・ボンドファンはいま、ビッグニュースに沸きかえっている。007のコードネームで親しまれているイギリスのスーパースパイは、もうこれ以上、ドイツ製のBMWを運転する必要がなくなったからだ。これからの作品では、ボンドはイギリス・ハンドメイドのアストン・マーチンを愛用するようになる。 アストンマーチンの親会社であるフォードは、ボンド映画の制作会社のイオン・プロダクションに200億円を支払い、この契約を取りつけたという。フォードにしてみれば恐ろしく高価な契約になったが、これはもちろんそれなりの戦略があってのことなのだ。 というのもフォード/アストンマーチンは、2002年から3年にかけてポルシェ911やフェラーリ360モデナクラスの、アストンとしては安価なニューモデルを投入する。それにあわせてこのパブリシティを行ない、生産台数を4倍に増やす予定なのだ。このことは、ボンドとともにあらわれるニューモデルにとって、ばく大な宣伝効果となるのは間違いないだろう。 アストンマーチンは、ボルボ、ジャガー、リンカーンからなるフォードのプレミアム・オートモーティブ・グループ(PAG)の1ブランドだ。さらに、PGAの指揮をとるウルフガング・ライツレは、BMWの重役だった経歴を持つが、トップ交代劇に破れ退職に追い込まれた人物。アストンマーチンのボンド映画カムバックは、じつは彼の個人的な復讐のひとつかもしれない。 |