日野自動車(株)といすゞ自動車(株)がバス事業に関する提携を発表した。
具体的な検討内容は、商品計画、生産合理化計画、新たな事業形態の構築の三つ。これらによって研究開発の集約化、購買の集約化、生産の合理化などによる開発費の低減と商品力の向上、ひいては販売ボリュームの増加が期待できるという。
さて、今回の提携にあたって双方の親会社、トヨタ自動車とゼネラルモーターズ(GM)の意向が無視されているとは考えにくい。トヨタは日野の株を16%所持し、経営へ影響力は大きい。またGMはいすゞ株を49%所持し、まさにいすゞはGMグループの一部門である。
GMとトヨタの関係は、北米のNUMMIを共同で設立してその工場で両ブランドのクルマを生産したり、つい最近も燃料電池を含む環境技術の共同開発を発表したばかり、接近の傾向にある。今回の子会社同士の提携も両親会社がいい関係にあると見て間違いなさそうである。
世界1位のグループと世界3位のグループの接近は、世界の自動車業界に大きな関心事であるが、「今回の提携はグローバルな再編にまったく影響ない」と分析する向きもある。
「もともとバス事業というのは三菱が非常に強い分野、そこにきてバス市場の急激な縮小、おまけに日本メーカーのバスは国際的にまったく競争力を持たない。残った2社はそれぞれ、撤退するか提携するかの道しかとりえない状況になった。いづれにせよニッチなマーケットのニッチな提携話だ」(経済誌記者)