軽BEV効果?世界で動き出す小型BEV市場をどう攻めるか…KPMGコンサルティング プリンシパル 轟木光 氏[インタビュー]

軽BEV効果?世界で動き出す小型BEV市場をどう攻めるか…KPMGコンサルティング プリンシパル 轟木光 氏[インタビュー]
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  • 中国NEV30年の歴史と、その次にくる市場~「クルマ未満、二輪以上」小型BEVは新産業になるか~ セミナー資料
  • 中国NEV30年の歴史と、その次にくる市場~「クルマ未満、二輪以上」小型BEVは新産業になるか~ セミナー資料

日本向けに開発された軽BEVが、発売から数か月でマカオ、スリランカに投入されようとしている。この動きは、日本の軽自動車規格を前提に開発された車両の海外展開を考えるうえで、注目すべき事例といえる。

BEVの市場の中心がプレミアムSUVからコンパクトカーを含む大衆車へとシフトしつつある。以前から中国において小型EVは市販されていたが、ここにきて、インド、ベトナムなど新興市場の小型モビリティの電動化の動きも後押しする形で、「クルマ未満、二輪以上」のモビリティが注目されている。

レスポンスセミナー「中国NEV30年の歴史と、その次にくる市場~「クルマ未満、二輪以上」小型BEVは新産業になるか~」は、来るべき小型BEV市場について、発展の歴史や各国の市場動向を議論する。注目は、各国の状況を踏まえ、小型BEVのTCO(Total Cost of Ownership:保有コスト)の分析も行われる予定だ。

講演に先立ち、講師を務めるKPMGコンサルティング プリンシパル 轟木光氏に、中国や各国の小型BEVモビリティ市場について聞いた。

中国NEV市場を育てた30年の政策支援

小型BEV市場を語る場合、やはり中国市場を無視するわけにはいかない。小型BEVも中国の30年にわたるNEV(新エネルギー車)に対する政策支援の賜物と言えるからだ。

轟木氏は、中国NEV市場は、技術研究期間を含めると1990年代から始まっているという。2001年には、中国863計画(1986年3月に始まったことからこの名がある)に自動車、バッテリー、走行制御に関する技術開発が加わった。基礎研究への政府の後押しは2008年まで続いた。轟木氏はこれを中国NEVの第1フェーズとした。

第2フェーズは、バスや公共交通へのNEV購入支援と充電環境整備がスタートする。2009年から2012年にかけてのことである。2010年には個人向けの購入補助も一部地域で試行された。

2013年から2022年には、NEVの普及を制度面から支える仕組みが整備された。

NEVの車両登録・税制の優遇、燃費規制や電池メーカーを対象とする認定制度、各種基準の見直しも行われた。これを第3フェーズとして、製品の品質を上げ、市場をより強固なものにする取組みに移った。なお、国によるNEV購入補助は2022年末に終了した。

現在の第4フェーズは、市場の拡大にともなう課題への対応、対策の段階といえる。税制優遇など買い替え支援で継続されている部分もあるが、車両の機能や価格の適正化と競争力強化に取り組み、ビジネスモデルや業界の利益の持続性を確認している。

中国NEV30年の歴史と、その次にくる市場~「クルマ未満、二輪以上」小型BEVは新産業になるか~ セミナー資料

中国NEVの発展モデルと成熟市場の次

振り返ると、中国BEVは2020年以降に突然世界市場に現れたわけではない。技術を育て、市場づくりを支援し、品質や競争力を高める施策を、着実に実行してきたことがわかる。轟木氏は、その発展モデルを次のように分析する。

「中国は、30年かけてNEV市場を1000万台規模に育て上げた。また、経済成長フェーズの需要増 ― 生産増 ― 改良投資というサイクルに、欧州のCO2規制、電池技術の発展、グローバル資本の思惑という外部要因がうまく結びついた。これらの要因が重なり、市場が急速に拡大した」

半面、国内市場の過当競争や過剰生産など負の側面も顕在化してくる。中国国内では「内巻き」問題として知られる。内巻きに対する政府および業界の対応は、海外輸出で問題の解決、収束をはかることだ。しかし、今度は、強くなりすぎた中国経済の海外進出に対して、世界は関税の強化など保護主義的な政策を強めている。

これらは、かつての日本がたどった道でもあり、他の産業でも見られる傾向でもある。乗用車としてのBEVのビジネスモデル、産業構造は確立され、各社の収益方法の分析も進んでいる。その意味では中国NEV市場は成熟期の課題を迎えているのかもしれない。NEV事業の収益構造や競争環境は、以前よりも分析しやすくなっていると轟木氏はいう。

業界としては新たな市場を模索する段階でもある。そこで次の注目領域として可能性があるのが、小容量のバッテリーを搭載し、比較的手ごろな価格で提供できる小型BEV市場ではないか、というのが轟木氏の見立てである。

国・地域で異なる小型BEVの制度と需要

小型車両や地域交通向けコミューターは、国・地域ごとに異なる法規制、文化、市場が存在する。移動ニーズも気候風土によってさまざまだ。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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