来る11月19日、オンラインセミナー「垂直統合の限界を超えて-EVスタートアップ『EMTA』が挑む自動車産業の水平分業戦略」が開催される。
登壇するのは、かつて大手自動車メーカーで黎明期の量産EV開発を主導し、現在は新興EVメーカー・株式会社EMTの最高技術責任者(CTO)を務める山本浩二氏。
今回のセミナーの主なテーマは以下の通り。
1.自動車産業のパラダイムシフトとEMTAの誕生
2.過度な技術偏重からの脱却――「Daily Magic」が創る体験価値
3.“システム・インテグレーション力”と“目利き”で挑む開発革新
4.日中連携によるスピード感とアフターサービス網の垂直立ち上げ
5.対談・質疑応答
セミナー開催に先立ち、登壇する山本浩二CTOに、EMTAが目指す新しいクルマづくりの思想とセミナーの見どころを伺った。
巨大投資を伴う「垂直統合」から、身軽で強靭な「水平分業」へ
これまでの自動車産業は、自社ですべてを抱え込む「垂直統合型」のビジネスモデルが主流だった。基幹部品の内製化に莫大な研究開発費と設備投資を行い、ピラミッド型の強固な系列サプライチェーンを統率する手法だ。
しかし、EV(電気自動車)とSDV(Software-Defined Vehicle)への転換が進む現在、その常識が大きく揺らいでいる。
「かつて大手自動車メーカーで黎明期の量産EV開発に携わっていた当時、モーターやインバーター、そして何よりバッテリーは基幹技術であり、絶対に内製化すべきだという強い信念のもとで巨額の投資を行いました。しかし、今や専用メーカーが猛烈な勢いで台頭し、莫大な資本を投じて進化を続ける時代となりました。そんな時代に新興OEMがゼロから参入するにあたり、設備投資競争に追従する垂直統合モデルを選ぶのは現実的ではありません」
山本氏はそう振り返る。新興OEMであるEMTAが選択したのは、過度な設備投資を避け、世界中の最適な技術・リソースを結集する「水平分業型OEM」という道である。
「持たざる者だからこそ、過去の遺産(レガシー)に縛られず、今この瞬間に世界で最も優れた技術やサプライヤーを選択できる強みがあります。新興OEMとしての勝機は、すべてを自分たちで作ることではなく、世界中から優れたピースを見つけ出し、まとめ上げることにあります」(山本氏)

ただの外部調達ではない――全体を調和させる「オーケストレーション」
水平分業というと、単に外部から部品を買い集めるアッセンブリー・メーカーを想像しがちだ。しかし、EMTAが目指す姿はそれとは根本的に異なる。山本氏が強調するのは、「システム・インテグレーション」と「目利き」とによる独自の価値創出だ。
「たとえばバッテリーで言えば、巨額の設備投資が必要なセルそのものは、世界で最も競争力のある専業メーカーから調達するのが合理的です。しかし、買ってきた最高のセルをただ積んでも最高の車はできません。バッテリーパックの構造設計、熱マネジメントシステムの統合、車両の運動性能とのすり合わせによって、航続距離や安全性、急速充電性能といったクルマ全体のパフォーマンスは劇的に変わります」(山本氏)
大手メーカーであればセルの基礎研究・材料開発に数百人規模の人員を割くところを、EMTAではセルの開発そのものは専業メーカーに委ねる。その代わり、パック設計や車両全体の熱管理、システム統合の領域にリソースを集中する。
「限られた人員や資金をどこに配分し、どこで独自の競争力を発揮するのか。セルを『目利き』して選び出し、自社の車両に完璧に調和させる『インテグレーション力』こそが、私たちの生命線です。それは言わば、世界中の名演奏家を集め、一つの壮大なシンフォニーを奏でる指揮者のような役割だと考えています」(山本氏)

サプライヤーとの新しい関係――「言われた通り作る」から「頭を使って共に創る」へ
この水平分業の思想は、サプライヤーとの関係性にも大きな変革をもたらす。従来のピラミッド型系列構造では、自動車メーカーが詳細な要求仕様(RFQ)を作成し、サプライヤーは「いかに指示通りに、安く早く正確に作るか」を求められるケースが多かった。

![クルマづくりの競争力は「目利き」と「統合力」へ、新興OEMが挑む自動車産業の新たな分業モデル…EMT 山本浩二CTO[インタビュー]](/imgs/p/hZgYd07SyqGxXeKSdNx7_YRJ30T7QkNERUZH/2252960.jpg)
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