ステランティスジャパンは10月16日、フィアットの新型コンパクトSUV『グランデパンダ・ハイブリッド』を11月7日から全国のフィアット正規ディーラーで発売すると発表した。メーカー希望小売価格は369万円(消費税込)から。
グランデパンダは、1980年に誕生した初代『パンダ』のデザイン思想を受け継ぐ、BセグメントのコンパクトSUVだ。1.2Lガソリンターボエンジンと48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせ、走行状況によってモーターのみでの走行も可能としている。
発表会でステランティスジャパンの成田仁社長は、「私は、この車が日本におけるフィアットの新しい代表的なモデルになってくれることを大いに期待しています」と述べた。
●初代パンダの機能美を現代に継承
初代パンダは、イタリアの工業デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロ氏が手掛け、1980年に登場した。シンプルで実用的なクルマをめざし、スクエアなボディと合理的な室内設計を採用した。グランデパンダは、パンダの名を冠する4世代目のモデルだ。初代の機能的なデザインを受け継ぎながら、SUVらしい力強さと現代的なデザインを組み合わせることが開発の意図だ。
成田社長は「グランデパンダは、パンダの後継モデルではありません」と説明。従来のパンダを単純に置き換えるのではなく、フィアットの新たな方向性を示すモデルとして位置付けた。ステランティスジャパンのイタリアンブランド事業部長、黒川進一氏は、グランデパンダについて「初代パンダが持っていた機能美と究極の道具感を、現代のイタリアングラフィックとサステナビリティで再構築した」と説明した。
フィアット・パンダ初代エクステリアには、四角い点を並べたようなピクセルデザインを採用。LEDヘッドライトのグラフィックスは、1980年代のデジタルカルチャーやレトロゲーム、フィアットの旧工場「リンゴット」の窓から着想を得ている。
フロントのフィアットロゴは左右非対称の位置に配置した。ドア下部には「PANDA」の文字をボディパネルに直接プレス加工している。Cピラーには、見る角度によってフィアットロゴと4本のラインが切り替わる特殊なグラフィックを採用した。
フィアットのインテリアデザイン責任者、ミケーレ・ロンゴ氏は、初代パンダのデザインについて「人々を感嘆させるためにデザインされたわけではありません。人々を助けるためにデザインされたのです」と語った。グランデパンダの開発では、初代のデザインを単に模倣するのではなく、その思想を現代的に再解釈したという。
フィアット・グランデパンダ
●全長4010mm、荷室容量412Lを確保
ボディサイズは全長4010mm、全幅1765mm、全高はグレードによって1585~1630mm。ホイールベースは2540mmで、乗車定員は5人だ。
スクエアなボディ形状を生かして室内空間を確保した。荷室容量は通常時412Lで、後席を倒すと最大1366Lまで拡大する。車内には合計13Lの小物収納スペースも設けた。黒川氏は、日本の道路環境について「本当に扱いやすいのは、無駄に大きなボディではなく、街に馴染むスマートなサイズです」と述べ、全長約4mの車体に広い室内空間と荷室を組み合わせた点を強調した。
インテリアには、1923年に完成したフィアットの旧工場「リンゴット」の屋上テストコースをモチーフとする楕円形のデザインを採用。ダッシュボードやディスプレイ周辺、ステアリングなどに取り入れている。ロンゴ氏は「リンゴットの屋上テストコースは、私たちのデザインDNAの一部です」と説明した。旧工場の建築的な特徴を、車内外のデザインに反映させている。
室内の基調色は「タスマニアブルー」で、イエローのアクセントを組み合わせた。
内装材には、車両1台当たり約140本分の飲料用紙パックから再生した樹脂素材「ラポレン・エコテック」を使用する。上級グレードの「ラプリマ」には、天然竹繊維を約33%配合した「バンボックス・バンブー・ファイバー・テックス」をフィアットとして初めて採用した。ロンゴ氏は、竹素材の採用について「結局のところ、竹はパンダの食べ物ですから」とユーモアを交えて説明した。環境への配慮と遊び心を両立させたデザインだ。
また、助手席用エアバッグをルーフ内に配置することで、ダッシュボードに収納スペースを確保したという。
フィアット・グランデパンダ●48Vマイルドハイブリッド、燃費20.8km/L
パワートレインには、1.2L直列3気筒ガソリンターボエンジンと電動モーター、6速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)を組み合わせた48Vマイルドハイブリッドシステムを採用した。エンジンの最高出力は101ps、モーターの最高出力は20psで、システム合計最高出力は110ps。駆動方式は前輪駆動となる。
走行状況によってモーターのみでのEV走行が可能で、30km/h以下では最大約1kmをエンジンを使わずに走行できる。黒川氏は、発進時にモーターのみで走行する「e-Launch」について説明。「単純な馬力競争ではなく、街を流すだけで『あ、気持ちいいな』と感じられる、軽やかで小気味よいドライブフィール」をめざしたと語った。WLTCモード燃費は20.8km/L。市街地モードは14.8km/L、郊外モードは24.1km/L、高速道路モードは22.8km/Lとなっている。
安全装備には、歩行者などを検知するアクティブセーフティブレーキ、レーンキープアシスト、インテリジェントハイビーム、ヒルスタートアシスタンスなどを採用する。ドライバーモニタリングカメラやクルーズコントロールも標準装備する。
フィアット・グランデパンダ●2グレード展開、価格は369万円から
日本仕様は、基本装備を備えた「アイコン」と、快適装備を充実させた「ラプリマ」の2グレードを設定する。
ラプリマには、専用ファブリックシート、オートエアコン、ワイヤレス充電パッド、リアビューカメラ、フロントパーキングセンサーなどを標準装備する。両グレードとも、10インチのデジタルメーターと10.25インチのタッチパネルモニターを備える。
ボディカラーは「リモーネイエロー」、「アクアアジュール」、「チネマブラック」、「ジェラートホワイト」の4色を用意する。
消費税込み価格は、アイコンが369万~374万5000円、ラプリマが409万~414万5000円。前席シートヒーターやステアリングヒーターなどを備えるウィンターパッケージ装着車は414万5000~420万円だ。
成田社長によると、フィアットは2008年の日本導入以来、『500(チンクエチェント)』と『500C』を合わせて約13万台販売した。グランデパンダは、こうしたフィアットの日本市場での歩みを受け継ぐ新たなモデルとなる。










