脱炭素燃料カート使用の市街地レース、島根県江津市で2026年秋開催へ…「52未来プロジェクト」

A1市街地グランプリGOTSU2020決勝レースの様子
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  • A1市街地グランプリGOTSU2020

島根県江津市と52未来プロジェクト実行委員会は、「52未来プロジェクトA1市街地グランプリGOTSU2026」を、2026年秋に開催すると発表した。

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2020年に日本初の市街地レースとして実現した「A1市街地グランプリGOTSU2020」に続く第2回目となる。今回は脱炭素燃料によって走るカートを使用することなどを企画している。

記者会見には、前回大会でレース解説を務めた森脇基恭氏、前回大会に引き続きレース運営を行うA1市街地レースクラブも同席した。

記者会見の前には、森脇基恭氏と堀池亮介氏(フジテレビアナウンサー。F1実況も担当する)による「日本のモナコへ~江津から始めるモータースポーツと未来のまちづくり~」と題したトークショーも開催され、2026年大会の実現に向かう江津市の挑戦を盛り上げた。

本大会の注目は「脱炭素燃料によって走るカートを使用すること」だ。中村市長は2023年、二酸化炭素の排出量を実質ゼロとする「ゼロカーボンシティ」を江津市が目指すと宣言した。これを受けて同市はGX(グリーン・トランスフォーメーション)の実現に向けた「52未来プロジェクト」を2025年度より始動させ、啓発活動やイベントの開催に取り組んでいる。

本大会はこの「52未来プロジェクト」のメインイベントとして位置づけられる。そのため、前回大会で使用したガソリンで走るレンタルカートではなく、二酸化炭素の排出量が少なく環境にやさしいカートの使用を前提としている。

ガソリンを使わないレーシングカートとして国内では、電気で走るEVカートによる挑戦がされてきた。本大会ではEVカートに加え、水素や合成燃料によって走るカートも視野に入れて可能性を探っている。

A1市街地レースクラブは本大会でレース運営を行う。同市による脱炭素燃料を使った新しい挑戦を支える、安全なレース運営の実現を目指す。

EVカートによるレースとして記憶に新しいものとして、「フォーミュラE 東京E-Prix」があるが、実は公道を使った日本初のレースはこの3年前に江津市で行われた「A1市街地グランプリGOTSU2020」が初めてだった。

前回大会とのもう一つの違いは、イベント自体の規模である。前回大会が開催された2020年は新型コロナウイルスの影響があり、観客やボランティアを江津市民に限定するなど、当初の予定よりも規模を縮小せざるを得なかった。しかし本大会では市も実行委員会に加わり、観客動員枠も拡大を見込んでいる。

同市は東西に長い島根県の西部(石見地方)に位置し、過去には高等学校「地理A」の教科書で「東京から一番遠いまち」として取り上げられたこともあった。しかし本大会で観客の募集やライブ配信を全国に向けて行うことができれば、その効果は絶大なものが予想される。同市の魅力を全国に発信する機会としても、本大会への期待が高まる。

日本初を実現したA1市街地グランプリが次に目指すのは「まちの展示場」を作ることである。自動車レースの枠組みを超え、あらゆる最先端技術の実験や発表を行う場として市街地レースを活用し、スポーツとエキスポの融合を目指していく。

各企業や研究機関等では、自動運転、水素エンジン、AI技術、ネットワーク、生体認証など、様々な技術開発が行われている。それらの技術に関する実証実験やPRを市街地で行うことで、一般市民がより身近に最先端技術に触れて体験することが可能となる。

本大会では単に自動車レースを開催するだけでなく、脱炭素燃料を含む多くの最先端技術のPRを行える「展示場」の提供を、GXを推進する江津市とともに目指していく。

《森脇稔》

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