サーキュラーエコノミーの実現を目指すレコテックは、啓愛社と協力して、同社が運営する資源循環データプラットフォーム「pool」を活用した自動車解体部品のトレーサビリティ取得の実証事業を実施したと発表した。
本実証では、単なるデータ取得にとどまらず、現場での作業負荷評価まで包括的に実施した。これにより、啓愛社は業界に先駆けて自動車部品の資源循環におけるデータのDXを推進し、自動車解体現場におけるCar to Carリサイクルに資する品質保証の基盤づくりを前進させる。
現在、自動車業界では、EUのELV規則などにより資源循環に向けた動きが強まっている。特に2031年までに新車製造に使用されるプラスチックの20%以上にリサイクル材の使用、さらにそのうち15%が廃車由来のプラスチックを使用することが義務化される見込みだ。
このような背景の中で、自動車業界が抱える課題として、自動車解体現場でリサイクル材として使用するプラスチックの品質保証とトレーサビリティの確保がある。しかし、解体した樹脂部品のトレーサビリティの取得は、信頼性のある情報の構築が必要なうえ、コスト面での採算性が不明であり、事業としての構築が困難だった。
car to carのプラスチックリサイクル品に求められる高い品質保証を実現するためには、解体から製品化までのリサイクルの工程におけるトレーサビリティの取得が必須となる。poolが持つトレーサビリティ情報の管理機能により自動車解体現場において負荷をかけることなく解体部品の情報を取得、管理することが可能となる。
今回の実証事業により、複数の成果を実現した。解体した部品の由来や車種などを記録し、最終的に生成された樹脂破砕材に対し、それらの情報を追跡できる仕組みを構築した。現場でのデータ登録作業負荷を評価し、破砕材の重量ベースでの1日あたりの処理可能量を確認した。解体効率とプラスチックの回収重量の関係性を調査し、解体により回収されたプラスチックの収益性の評価を行った。
今後は取得した破砕品の品質調査などを行い、大規模に展開していくことを想定している。また、現場でのトレーサビリティ取得のpoolを用いた効率化をさらに進め、より高い経済合理性の実現を目指していく。将来的には自動車産業全体のサーキュラーエコノミー実現に向けた取り組みを推進していく。





