スズキは10月16日、京都大学工学研究科の廣谷潤准教授と教育学研究科の西岡加名恵教授らと共同で、小学生向けプログラミング教材を開発し、「ドロモビでプログラミングをはじめよう」の無償提供を開始したと発表した。
情報技術の進化により、論理的思考や課題解決力は社会で欠かせない力となっている。2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されたが、現場では使いやすい教材が不足していた。
京都大学の廣谷准教授は、理系人材の減少に危機感を抱き、小学生の段階から理系教育を充実させる必要性があると考えた。同大学教育学部演習科目「学校探究ゼミナール」に参加し、小学校での授業や先生方との対話を重ねる中で、小学生向けプログラミング授業の教材の重要性を痛感したため、公益財団法人スズキ財団からの助成を通じて交流のあったスズキに共同開発を提案した。
子どもたちの学びを未来の研究やものづくりへとつなげ、次世代の理系人材育成に貢献したいという廣谷准教授の想いにスズキも共感し、両者で「学校探究ゼミナール」などの活動を取り入れた教材を共同で開発した。
今回開発した教材は、紙と筆記用具、小学生が持つ端末さえあれば利用できる設計、論理的思考と工学の楽しさを感じる機会の創出、授業以外でも家族や友達といつでも楽しんで利用できるの三つの観点から開発した。
この教材をプログラミング授業で活用することで、子どもたちの論理的思考力や問題解決能力の育成を支援するとともに、教育現場の課題解決にも寄与することが期待される。
児童は配布されたプリントの命令ブロックに、鉛筆でプログラムの指示を記入。タブレットやパソコンから、スズキが開発したWebアプリ「ドロモビ」を立ち上げ、そのプリントを撮影する。読み取った情報をデジタルデータに変換する技術(OCR)と画像処理技術を用いて、プリントに書かれた命令を読み取り、プログラムとして解析。解析されたプログラムに基づき、画面上のキャラクターや車が動くため、プログラミング結果がすぐに確認できる。
今後、京都大学は協力できる学校現場での教育効果の検証を進め、スズキは使いやすさの向上に取り組み、教材のさらなる改良を目指している。
京都大学とスズキは、この取り組みを通じて学校教育現場が抱えるプログラミング教育の課題を解決し、子どもたちがプログラミング的思考を養うためのさらなるきっかけづくりを目指す。