三菱電機は10月6日、高輝度・高精細な映像を空中に表示する空中ディスプレイ「CielVision(シエルビジョン)」を開発したと発表した。
独自の光学技術とデジタル映像処理技術を融合し、装置のスリム化も実現。次世代の自動車向けHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)などへの応用を目指す。
近年、利用者に高い臨場感を提供する空中ディスプレイが注目されている。しかし、主流の再帰反射方式では、光の損失が大きく映像が暗くなる、解像度が低いといった課題があった。また、表示する映像と同じ大きさの装置が必要なため、設置場所も限られていた。
今回開発された「CielVision」は、最適化設計した自由曲面ミラー1枚のみを使用する独自の光学技術を採用。これにより、再帰反射材やハーフミラーを用いる従来方式に比べ、光の利用効率を約400%向上させ、明るく鮮明な映像表示を実現した。
さらに、光学系によって生じる映像の歪みをデジタル映像処理で補正することで、高品位な表示を可能にした。装置自体のスリム化も実現し、設置の自由度が高まっている。
「CielVision」は2D表示に加え、左右の目に異なる映像(視差画像)を同時に表示することで、専用のゴーグルなどを装着することなく裸眼で立体映像を視認できる3D表示にも対応する。
三菱電機ではこの技術を、屋外や公共交通機関での案内表示のほか、高速道路での逆走防止警告、次世代自動車のHMIや車内エンターテイメント、医療現場での非接触操作など、幅広い分野でのXRソリューションとしての活用を見込んでいる。
この新技術は、2025年10月14日から幕張メッセで開催される「CEATEC 2025」に出展され、来場者は裸眼3Dの空中映像を体験できる予定だ。