ブガッティは、高級時計メーカーのジェイコブ&コー、クリスタルメーカーのラリックとの3社協業により、テーブルクロック「ブガッティ カランドル」を発表した。99個が限定生産され、価格は24万ドル（約3466万円）だ。
3年間の研究開発期間を経て完成したこの時計は、ブガッティの豊かな歴史とジェイコブ&コーの高級時計製造技術を融合させた希少な工芸品だ。
カランドルは、ブガッティの過去と未来を統合したデザインが特徴。ラリック製のクリスタルケースには、伝説的なブガッティ「タイプ41 ロワイヤル」へのオマージュとして、2体の精巧に彫刻されたダンシングエレファントが配置されている。これは著名な彫刻家でエットーレ・ブガッティの兄弟であるレンブラント・ブガッティへの芸術的な敬意を表している。
ブガッティ・カランドル製品名の「カランドル」は、フランス語でラジエーターグリルを意味する。ブガッティ車両に見られる象徴的な馬蹄形グリルを称えている。グリルの上部には、世界中の自動車愛好家やコレクターに知られる深紅色の「ブガッティ マカロン」が配置されている。
技術面では、馬蹄形グリルの背後に垂直フライングトゥールビヨンを搭載したクロックキャリバーを装備している。これはブガッティの新型ハイパーカー『トゥールビヨン』へのオマージュであり、垂直位置での時計の精度向上というトゥールビヨンの本来の目的も果たしている。
ジェイコブ&コーは、ブガッティ カランドル専用のムーブメントを開発した。手巻きキャリバーJCAM58により8日間のパワーリザーブを実現している。美観を保つため、時刻設定と巻き上げは時計の裏蓋に挿入する特別なキーで行う。
また、30mmのレッドジェムストーンが頂部に配置されている。その色はブガッティ マカロンの主要色を暗示し、ジェイコブ&コーの特許取得済みジェイコブカットにより288面のほぼ円形の形状で仕上げられている。
ブガッティ・カランドル
クリスタルケースは、フランス東部のヴィンゲン・シュル・モデールにあるラリックの工房で手作りされている。1922年に設立されたこの工房では、数十年にわたって洗練された技術により、比類のない透明度と輝きを実現している。溶融クリスタルを工学的に設計された鋼製の型に注ぎ、冷却・固化させて彫刻を作成する。職人たちは数か月をかけて表面を精製し、エッジを鋭くし、質感を高め、つや消しと研磨仕上げを施している。
このプロジェクトには歴史的な背景もある。ルネ・ラリックは元々宝石商として出発し、ジェイコブ・アラボと同様に貴重な作品を制作していた。後にガラス職人となり、現在でも使用されている革新的な製造プロセスを発明した。また、ルネ・ラリックとエットーレ・ブガッティは、フランス東端のアルザス地方で工房を設立し、45km離れた場所で事業を展開していた。
ブガッティ カランドルは、ブガッティの高級インテリアのような特注のタンレザートランクに収められ、両ブランドを定義する贅沢、デザイン、革新の融合を体現している。
