スペースシフトとトヨタ自動車は、衛星データと車両走行データを組み合わせた新たな災害対策ソリューションを共同開発し、5月21日に開幕する「人とくるまのテクノロジー展 2025」で発表する。
近年の気候変動に伴い、水害対策の重要性が高まる中、両社は2024年4月に災害対策における共同技術開発の覚書を締結。今回のソリューションでは、スペースシフトが持つ人工衛星(SAR衛星)のデータ解析技術と、トヨタ自動車が収集する車両走行データ(プローブ情報)を組み合わせることで、災害時の被災状況をリアルタイムに把握する技術を実現する。
SAR衛星は電波を照射して地表を観測する衛星で、電波が雲を透過する特性を活かし、昼夜・天候に関係なく24時間365日撮像が可能という特徴がある。この衛星データと車両から得られる位置情報や走行状況を組み合わせることで、浸水域や通行不能エリアをより正確に把握できるようになる。

両社の技術連携により期待される効果として、災害時のリアルタイムな被災状況把握や避難指示の迅速化、災害復旧時の最適ルート情報提供などが挙げられる。また、過去の罹災歴をもとにした水害シミュレーションにより、より正確なハザードマップの策定も可能になるという。
スペースシフトによると、令和3年の水害被害額は全国で約3600億円となっており、今回のテーマは日本の経済・社会基盤を守り抜く上でも非常に重要度が高いという。
新技術は「人とくるまのテクノロジー展 2025」の横浜会場(5月21日~23日、パシフィコ横浜)と名古屋会場(7月16日~18日、Aichi Sky Expo)のトヨタ自動車ブース内で展示される予定だ。