日本のEV事業は問題点だらけ? EV充電補助金、早期受け付け終了への見解…エネチェンジ

電気自動車向けの充電設備の導入ができるオールインワンサービス「EV充電エネチェンジ」を展開する同社。EV充電器を設置・月額費用0円で導入できるのが魅力となっている。
  • 電気自動車向けの充電設備の導入ができるオールインワンサービス「EV充電エネチェンジ」を展開する同社。EV充電器を設置・月額費用0円で導入できるのが魅力となっている。
  • エネチェンジ CEO 城口洋平氏がEV事業について語った。補助金の問題については特に熱く語っていた。
  • EV関連は様々なことが発展途上のため、問題点も多いことがわかった。
  • ユビ電株の発表についてはかなり含みを持たせた言い方をしていた
  • 欧米と日本のインフラの違いについても考えていかなければならないことが山積み。
  • 日本特有の段階の多い、補助金申請から交付までのスキームも見直しを提案すると語った。

電気自動車向けの充電設備の導入などを手がけるエネチェンジは、7月4日にメディアラウンドテーブルを開催。同社CEO 城口洋平氏が登壇し、「EV充電インフラ整備のロードマップ、補助金(目的地充電)の早期受付終了」についての見解を発表した。

わずか3ヵ月で枯渇した充電インフラ補助事業の補助金

今回のラウンドテーブルの議題でもある補助金の早期受け付け終了とは、6月12日に、経済産業省と、補助申請受付の執行団体である一般社団法人次世代自動車振興センター(NeV)が“充電インフラ補助事業「普通充電器『商業施設及び宿泊施設等への設置事業(目的地充電)』等」における交付申請受付終了のお知らせ”を発表したことを指している。3月31日に開示されたEV充電インフラ補助金が、申請受付開始からたった3ヶ月弱で予算額を超過し、受付終了になってしまった現状に懸念を抱いた城口氏が、税金を用いた充電インフラ整備のあるべき姿を語った。

普通充電器設置への補助金は全部で55億円しかない

そもそも充電インフラの補助金配分は、急速充電器に約90億円、普通充電器(基礎充電)に約30億円、普通充電器(目的地充電)に約25億円、予備分として約30億円用意されていた。その中の普通充電器(基礎充電)は6月29日に、普通充電器(目的地充電)は6月12日に予算額に到達してしまい、申請受付を締め切ってしまった。つまりこれは、今年EVインフラの設置予定だった場所に補助金が切れたことで設置ができなくなり、最速でも来年以降しか設置されないことになる。また古い充電器をリプレースする予定だったものも、経年劣化などの故障や保証期間切れで運用停止となる可能性があり、EVユーザーの利便性向上については、大きな遅れとなる。

エネチェンジは本年度5000基の申請を計画し、その補助金総額は約60億円。上記のように基礎充電と目的地充電を合算した普通充電器補助金予算額は約55億円であり、エネチェンジの計画だけですでに予算が不足しているような状況だ。この状況を打開するためにも城口氏は、「令和4年度補正・令和5年度当初予算とは別に、政府予算の予備費を充当することで、今年度内に執行可能な追加予算を確保することを要請する」と語った。

城口氏がこれだけ声高に「追加で予算を」と言うには理由がある。2022年時点での充電器の設置台数は、普通充電器数が2万1000基。急速充電器数が8000基。政府はこの充電器の数を、2030年には普通充電器を12万基、急速充電器数を3万基まで増やすといった目標を掲げている。毎年同じ台数ずつ増やすとなると、普通充電器の場合、1年で1万2500基増やす必要がある。ところが、目的地充電予算の25億円では、1785基しか設置出来ない計算となる。目的地充電予算に予備分予算を加えた55億円をもってしても3928基と、1万2500基とはほど遠い数値なのだ。

駐車場収容台数に基づく設置上限器数の撤廃が及ぼした悪影響

さらに補助金の乱用を防止するために厳格な運用を求めるとも語っている。令和2年度まで設定されていた充電インフラ補助金申請要件における上限の撤廃により、ひとつの施設に対し多量の充電器設置を行う事例が出ている。現状のEV普及率を考えると、大量設置しても利用されずに終わってしまい、補助金の無駄使いに過ぎない。たとえば、六本木ヒルズは239基、東京ミッドタウンは125基、アリオ川口は135基、そごう横浜は141基など、到底すべてを利用されるとは思えない数の充電器が設置されている。


《関口敬文》

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