ニデック(旧日本電産)は6月6日、ニデック新川崎テクノロジーセンター(川崎市幸区)において、同社が5日に発表したルネサスエレクトロニクス(以下ルネサス)との「EV向け次世代E-Axleの半導体ソリューションでの協業」についての説明会を開催した。
プラットフォーム化が進む中国を念頭に高機能PoCの共同開発を目指す
今回の協業の目的は、ニデックのモーター技術とルネサスの半導体技術を組み合わせることで、業界最高水準のeアクスルの実現を目指すことにある。現在、中国ではこのeアクスルを含めたプラットフォーム化が進んでおり、両社はその分野にまで踏み込んだ高機能PoC(概念実証:Proof of Concept)の共同開発を目指していく考えだ。
この協業について説明に登壇したニデック常務執行役員 副最高技術責任者 兼 半導体ソリューションセンター所長の大村隆司氏は、「中国を中心に世界では今、EVで使われるeアクスルのオールインワン化が加速している。ニデックとしてもそれを追いかける必要性を痛感しており、今後は一段と統合を進めた第3世代eアクスルを開発するPoCをルネサスと共に作っていく」と述べ、それを達成することで「勝機は十分ある」とした。
eアクスルはモーターやインバーター、ギヤの3つを一体化した電動化ユニットであることから“3-in-1”ユニットとも呼ばれるが、車両開発の効率化を図るためにその高性能・低コスト・小型軽量化は急速に加速している。ニデックとしてもその動向を3世代に分けて対応することを進めてきた。
第1世代はモーターやインバーターなどを個別に制御していたもので既に実現済み。第2世代ではそれらを部分的に機能統合したeアクスル(3-in-one)を指して開発を進めているところだ。そして、今後の展開として、OBC(オンボードチャージャー)、DC-DCコンバーターまでの機能を6-in-1、7-in-1としてすべて取り込んだ1ユニット化したものを第3世代と位置付ける。今回のルネサスとの協業によって開発されるPoCはこの第3世代を見据えた取り組みとなる。
協業の決め手は半導体製品のポートフォリオの広さ
そうした中で大村氏は、「eアクスルに占める半導体の割合はとても高く、これは(供給体制を含め)パートナーとの関係が極めて重要だ。しかし、Xin1のような新たなパーツの開発でベストな半導体サプライヤーは見つかっていない」とする一方、その中で「ルネサスは車載半導体に強みを持つだけに、協業する意義は大きい」と説明した。