インドの自動車産業は2026年末までに3000億ドルに達すると、インド政府の広報サイト「INVEST INDIA」は述べている。
すでに自動車の国内販売車台数では日本を抜いて世界3位。国連によれば人口は年内に世界一になる見込みで、インドの経済規模は今後も成長を続けるだろう。急速に発展するインド自動車市場の動きを伝える連載「インド・新自動車大国の素顔」の本記事では、インドEV市場の成長を支える政策「FAME」の最新事情をお伝えする
◆EVは三輪車から二輪車とバスへ
インドの電動車振興策であるFAME (Faster Adoption and Manufacturing of Electric Vehicles)。
FAMEは2020年に向けた交通政策 “National Electric Mobility Mission Plan 2020”の一環として2015年に導入された。その後、2019年にPhase2としてリニューアルされ、2023年4月からの新年度でも継続されている。

当初のFAME (Phase1) は2年間で終了の予定が4年に渡り続いた。続いて、Rs. 10,000 Cr. (約1600億円) の予算配分と共に始められたPhase 2も、3年の予定が既に丸4年を過ぎて5年目を迎えている。今のところ “Phase 3” と謳われてこそいないが、この度、大幅なリニューアルがアナウンスされた。
もっとも大きなポイントは、三輪車に対する補助金が削減され、バスと二輪車に振り分けられたことだ。「社会的、環境的にインパクトの大きい2つのカテゴリーへの割り当てを引き上げた」と政府はその理由を説明しているが、市場の導入状況に鑑みて、三輪車の電動化については一定の初速がついたと判断した側面もあろう。
これまでにFAMEスキームを利用して導入された電動バスは約2,600台に上るが、目標に掲げられた7,000台には遠く及んでいない。今回のリニューアルで約1600台分に相当するRs. 800 Cr. (約130億円) が上乗せされ、電動バスへの補助金総額はRs. 4,300 Cr. (約700億円) に至るとされ、Phase1開始当初から合計で約9000台が恩恵を受けることになる計算だという。

電動車両は、予め色・形を知って特別に意識していない限り、ぱっと見ただけではディーゼル車両と何ら区別がつかず、ベンガルールの街に溶け込んでいる。ムンバイではロンドンのアイコンとしてお馴染みの赤い2階建てバス型の電動車両が走り始めているし、200km程度の都市間をつなぐ高速バスも各地で電動化されている。インド全国において今後一層、普及・浸透が進んでいくに違いない。