車載半導体の課題に対するパナソニックの放熱ソリューション…人とくるまのテクノロジー展2023

パナソニックインダストリーの「高熱伝導性 多層基板用フィルム R-2400」(左)
  • パナソニックインダストリーの「高熱伝導性 多層基板用フィルム R-2400」(左)
  • パナソニックインダストリーブース(人とくるまのテクノロジー展2023)
  • 「高熱伝導性 多層基板用フィルム R-2400」を正面に展示していた
  • 樹脂流れ性を持たせる事で基盤多層化に大きな役割を持つ
  • 「熱対策ソリューション」の展示
  • 構造的にはヒートシンク一体型冷却ファンになっている
  • 流体軸受けを用いて静粛性や低振動、信頼性を上げている
  • レーザー樹脂溶着の加圧加工の実演が行われていた

パナソニックインダストリーは「人とクルマのテクノロジー展2023 YOKOHAMA」で、半導体のハイパワー化による電子回路の高温化への対策を中心に最新の独自技術を展示した。

パナソニックインダストリーブース

車載の各種基板が進化し半導体のハイパワー・ハイスペック化が年々エスカレートしていく中、半導体の発熱に伴う電子基板の放熱対策が急務になっている。特に多層基板が用いられることが多い車載機器では、基板の効率化・コンパクト化を進める上で放熱は重要課題になっていた。

「高熱伝導性 多層基板用フィルム R-2400」を正面に展示していた

そんな中、パナソニックインダストリーが出展した新商品が「高熱伝導性 多層基板用フィルム R-2400」だ。複数のパーツを積層する多層基板は凝縮した基盤設計が可能であることが特徴ではあるが、パワー半導体などからの熱の発生が問題になることも多い。発熱性を考慮すると従来は基板に余裕を持たせるなどの対策が必要だった。

「高熱伝導性 多層基板用フィルム R-2400」は多層基板の絶縁材料として設計され、絶縁信頼性に加えて放熱性を兼ね備えたのが特徴だ。従来、絶縁信頼性と放熱性は両立するのは難しいとされていた。しかしこの新商品はベースとなるレジンの中に混ぜ込むフィラーの種類やフィラーを均一に分散させるといった混ぜ方の工夫を施すことで高い絶縁信頼性能と優れた放熱性を同時に備えたのだ。

樹脂流れ性を持たせる事で基盤多層化に大きな役割を持つ

その結果、多層基板にこのフィルムを用いることで半導体から発する熱を効率良く放熱することに成功、モジュール全体の小型化に貢献する新商品となっている。ますます発熱量の多い部品が増えていく昨今の半導体事情、多層基板の放熱対策を考える上でも大切な新商品となった。クルマの電子回路がよりハイスペック化、ハイパワー化する中で、発熱問題は顕在化している。基板の放熱性能の進化が回路の高性能化には欠かせない要素となっている。


《土田康弘》

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