電動化を見据え柔軟性を重視するボルグワーナーの企業方針…人とくるまのテクノロジー展2023

統合ドライブモジュール(iDM)
  • 統合ドライブモジュール(iDM)
  • 統合ドライブモジュール(iDM)
  • 容量や構造の異なる7種類が揃う
  • 円筒形のバッテリーセルの間を蛇行しながら沿う冷却プレート
  • 直流式急速充電器「イペリオン-120」
  • 三重県の企業が導入したモニター付きAC充電器
  • 2030年にはEV関連の売上を半分近く見込む
  • ボルグワーナーブース(人とくるまのテクノロジー展2023)

「人とくるまのテクノロジー展2023 YOKOHAMA」が5月24日から26日までの3日間、神奈川県のパシフィコ横浜で開催された。初日の来場者は1万7757名(主催者発表)で、昨年の1万2597名を40%上回った。コロナ禍前の28,000名(2019年)に比べれば少ないが、ビジネス環境も徐々に回復の兆しが見える。国内外から約500社が参加してブース出展を行った。

トランスミッションやトランスファーなどを中心に事業を展開してきた米ボルグワーナーは、クルマの電動化に対応する製品ラインナップの展示を行った。

◆幅広いラインナップの電動モジュール

動力伝達系に強い同社は、電動ドライブにも力を入れている。「統合ドライブモジュール(iDM)」は、モーター、インバーターおよびトランスミッション(減速機)を文字通り統合したユニットだ。最大の売りは幅広いポートフォリオで、400Vに5機種、800Vに2機種、容量や構造の異なる7種類(一部開発中のものを含む)がOEMのニーズに合わせて供給できるという。

統合ドライブモジュール(iDM)

パワー密度が高く効率の良い永久磁石同期型モーターを組み込んだものが主力で、全体の85%を占める。スピンロスが少ない誘導モーターのほか、巻線ローター同期型モーターを組み込んだモジュールも用意されている。誘導モーターはセカンダリードライブ用途のほか、高速・低トルク域での効率の良さを生かした長距離高速巡行型の車両に適しているという。巻線ローター同期型は、この誘導モーターと永久磁石型の「ちょうど中間の特性」だという。

容量や構造の異なる7種類が揃う

米本社でエンジニアリング・マネージャーを務める石原充氏は、「今は、車両メーカーも色々なタイプを試している時期です。様々な要望に対応できるよう、ラインナップを揃えておくのは必要だと考えています」と話す。すべてを内製しており、用途の違いによって主要コンポーネンツの組合せを変えることのできる柔軟性も同社の強みとのことだ。例えば、ローターだけを変更して組み込み、顧客ニーズに最適化したiDMを提供することも可能だ。

◆日本初出展と日本初導入

今回、日本初出展となったのが「バッテリー冷却プレート」。押し出し成型アルミニウムのこの「プレートは、円筒形のバッテリーセルの間を蛇行しながら沿うように設計されている。セルの表面積に対して最大限の接触面を確保することで、高い熱伝導率を実現している。プレートの両端はクーラントが循環するパイプにつながっており、セルの温度を適切に管理できるという。現在は開発中とのことだが、2025年に発売される予定。


《石川徹》

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