斉藤鉄夫国土交通大臣は5月9日に開かれた定例会見で、北海道新幹線・羊蹄トンネル有島工区のコンクリート品質管理試験で虚偽報告があったことについて記者の質問に答えた。

建設主体の独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が5月2日に公表した内容によると、コンクリートの単位水量試験とスランプ試験で不正があったことを4月24日、工事を請け負っていた熊谷・不動テトラ・宮坂・橋本川島 特定建設工事共同企業体(熊谷JV)が報告したという。

コンクリートの単位水量試験は、水分量による乾燥収縮やひび割れを防ぐためにコンクリート1立方mあたりに含まれる水分量を測定するもの。スランプ試験は打設したコンクリートが隅々まで行き渡っているかどうかを確認するため、固まる前のコンクリートの流動性などを測定するもので、単位水量試験は打設前に1回、打設開始後に50立方mごとに実施。スランプ試験はトンネルのブロックごとに3か所で実施するとされている。
ところが、熊谷JVからは、単位水量試験は打設前の1回のみ、スランプ試験は1か所でしか行なっていないことが報告されたという。

これらについて鉄道・運輸機構では他の工区に対して注意喚起を行ない、同様の不正が発生していないかを確認しているが、斉藤大臣も「原因究明、再発防止、他の物件で同様の問題がないかなどについて速やかに調査・報告するとともに、発注者に対して誠実に対応するよう、指示をしたところです」と述べた。
大臣自身は東京工業大学理学部を卒業後、同大大学院の修士課程を修了し、清水建設に在職した経歴を持っているだけに、単位水量試験やスランプ検査の重要性については認識しており、「建設現場で育った一技術者として、あり得ないことという思いで、本当に建設業の信頼性を揺るがす大きな問題だと思います」と述べ、今後も徹底した指導を行なっていく考えを示している。