キハ183系が定期ラストラン、富良野線からキハ150が消える…JR北海道の2023年3月改正

復刻色が先頭を飾ったキハ183系定期運行最終日の『オホーツク1号』。2023年3月17日。
  • 復刻色が先頭を飾ったキハ183系定期運行最終日の『オホーツク1号』。2023年3月17日。
  • 3両編成2本を連ねて、ダイヤ改正前日に札幌から網走へ回送される『オホーツク』『大雪』用キハ283系。2023年3月17日。
  • 石北本線沿線にちなんだラッピングが前頭部に施されたキハ283系。2023年3月17日。
  • 『オホーツク』『大雪』での営業運行初日のキハ283系『オホーツク1号』。前日のキハ183系と比べて編成が短く、重心が低い分、軽快な印象を受ける。2023年3月18日。
  • 旭川市、上川町、遠軽町、北見市にちなんだキハ283系の前頭部ラッピングデザイン。
  • 美幌町、大空町、網走市にちなんだキハ283系の前頭部ラッピングデザイン。特別デザインもラッピングされている。
  • 3月17日に『オホーツク3号』として網走に到着したキハ183系が、翌3月18日に札幌へ回送されてきた。この前には『大雪3号』として網走に到着した復刻色付き編成が回送されている。
  • 早川さんから見せていただいた3月17日『オホーツク4号』の編成メモ(上欄の74D)。

毎年3月になると繰り返される悲喜こもごものダイヤ改正劇。今回の3月18日ダイヤ改正では、JR北海道でキハ183系特急型気動車が定期運行を終了。富良野線(旭川~富良野)ではキハ150形一般型気動車がH100形一般型気動車に置き換えれられるなどの動きがあった。

■ファンに配慮した『オホーツク4号』

キハ183系は、2018年3月に「スラントノーズ」と呼ばれた非貫通・初期型の0番台が引退。残るは1986~1990年に登場した貫通型の500・1500、550・1550番台をベースにしたモデルチェンジ車のみとなり、札幌・旭川~網走間の『オホーツク』『大雪』は2018年7月からハイデッカーグリーン車を含む現在の編成となったが、最も自然条件が厳しい道東地方への列車に運用されただけに老朽化の進行は年を追うごとに深刻となり、一部の外板が剥がれた満身創痍の状態で走り続けていた。

しかし、2022年3月改正を機にキハ261系特急型気動車1000番台8両が増備されると、札幌~釧路間の『おおぞら』に残っていたキハ283系特急型気動車が廃車となったグリーン車のキロ282形を除き『オホーツク』『大雪』へ転用されることになり、およそ1年の準備期間を経て、今回のダイヤ改正で再デビューを果たした。

『オホーツク』『大雪』での営業運行初日のキハ283系『オホーツク1号』。前日のキハ183系と比べて編成が短く、重心が低い分、軽快な印象を受ける。2023年3月18日。『オホーツク』『大雪』での営業運行初日のキハ283系『オホーツク1号』。前日のキハ183系と比べて編成が短く、重心が低い分、軽快な印象を受ける。2023年3月18日。

ただし、所定編成はグリーン車なしの3両で、改正前日の3月17日には3+3の6両編成が札幌から網走へ回送。特急『ライラック』用の789系特急型電車と同じく、先頭車前頭部のサイドには石北本線の沿線にちなんだラッピングが施されている。

石北本線沿線にちなんだラッピングが前頭部に施されたキハ283系。2023年3月17日。石北本線沿線にちなんだラッピングが前頭部に施されたキハ283系。2023年3月17日。
3両編成2本を連ねて、ダイヤ改正前日に札幌から網走へ回送される『オホーツク』『大雪』用キハ283系。2023年3月17日。3両編成2本を連ねて、ダイヤ改正前日に札幌から網走へ回送される『オホーツク』『大雪』用キハ283系。2023年3月17日。旭川市、上川町、遠軽町、北見市にちなんだキハ283系の前頭部ラッピングデザイン。旭川市、上川町、遠軽町、北見市にちなんだキハ283系の前頭部ラッピングデザイン。美幌町、大空町、網走市にちなんだキハ283系の前頭部ラッピングデザイン。特別デザインもラッピングされている。美幌町、大空町、網走市にちなんだキハ283系の前頭部ラッピングデザイン。特別デザインもラッピングされている。

キハ183系の定期運行最終日は、所定より1両多い5両編成で運行され、『オホーツク1号』『大雪4号』『大雪3号』には複刻特急色のキハ183-8565、キロ182-504が連結された。

上りの定期最終列車となった『オホーツク4号』は復刻色なしの通常編成で、札幌到着時に熱心に編成メモを取っていた札幌市在住の早川淳一さんによると、5両編成のうち、キハ182-7560・7561、キロ182-7551、キハ183-9560の4両がキハ261系特急型気動車と同じ460PSのエンジン(N-DMF13HZK)に換装された車両で、札幌方4号車の先頭車(キハ183-1501)が唯一、オリジナルのエンジン(250PSのDMF13HS)を持つ車両だったという。

早川さんから見せていただいた3月17日『オホーツク4号』の編成メモ(上欄の74D)。早川さんから見せていただいた3月17日『オホーツク4号』の編成メモ(上欄の74D)。

もともと、キハ183-1501とキロ182-7551は110km/h対応の「N183系」として国鉄時代の1986年に、キハ182-7560・7561とキハ183-9560は120km/h対応の「NN183系」としてJR移行後の1989年に登場した車両で、キハ183-1501を除き、現在の番号はN-DMF13HZKに換装されたことにより変更されたものだ。こうして見ると、キハ183系は一般に「国鉄型」と呼ばれてはいるが、「国鉄とJRを跨いだ国鉄型」と言うべきだろうか。

そんな『オホーツク4号』は玉石混交でファン心をくすぐる編成だったとも言え、「それなりに配慮していましたね」と早川さん。ご自身は40年近くも北海道を中心に列車の編成を小さなメモ帳と鉛筆で記録しており、2022年にはその地道な記録が雑誌記事に掲載されたことが縁で、鉄道友の会が鉄道分野に関する優れた著作物に贈る「島秀雄記念優秀著作賞」を受賞。キハ183系の『オホーツク』も1988~1994年頃に勤務地と札幌の実家との往復でよく利用されていたという。

ちなみに、その間の1992年3月改正からは客車急行『大雪』を格上げした夜行の『オホーツク』も運行を開始しており、客車のB寝台車を気動車との併結仕様に改造したスハネフ14を連結。筆者も寝台で一夜を過ごした記憶があるが、これは臨時列車を含めて2008年に運行を終了している。

3月17日に『オホーツク3号』として網走に到着したキハ183系が、翌3月18日に札幌へ回送されてきた。この前には『大雪3号』として網走に到着した復刻色付き編成が回送されている。3月17日に『オホーツク3号』として網走に到着したキハ183系が、翌3月18日に札幌へ回送されてきた。この前には『大雪3号』として網走に到着した復刻色付き編成が回送されている。

こうして定期運行を終えたキハ183系は、今後、臨時列車として走ることになり、4月10日に網走→札幌間で運行される『キハ183オホーツク』が正真正銘のラストランとなる。

『キハ183系北斗』『キハ183系ニセコ号』の時刻(停車駅のみ)『キハ183系北斗』『キハ183系ニセコ号』の時刻(停車駅のみ)『キハ183系サロベツ』『キハ183系オホーツク』の時刻(停車駅のみ)。なお、4月7日は札幌→函館間を山線経由で、4月8日は函館→札幌間を海線経由でツアー列車として運行される。『キハ183系サロベツ』『キハ183系オホーツク』の時刻(停車駅のみ)。なお、4月7日は札幌→函館間を山線経由で、4月8日は函館→札幌間を海線経由でツアー列車として運行される。

■1両で2両分の活躍をした富良野線のキハ150

一方、富良野線では1993年2月から運用されていた旭川運転所のキハ150形0番台が撤退している。

十勝岳をバックに富良野へ向かう富良野線最終日のキハ150。2023年3月17日。十勝岳をバックに富良野へ向かう富良野線最終日のキハ150。2023年3月17日。富良野から旭川へ向かう富良野線最終日のキハ150。3月とはいえ、北海道の中央部はほんの30分で吹雪模様となる。道は乾いていたが、まだまだ冬だ。2023年3月17日。富良野から旭川へ向かう富良野線最終日のキハ150。3月とはいえ、北海道の中央部はほんの30分で吹雪模様となる。道は乾いていたが、まだまだ冬だ。2023年3月17日。

同車は、大出力の450PSエンジン(N-KDMF15HZ)を搭載。富良野線・美瑛~美馬牛間には28.6パーミルの急勾配が控えているため、220PSの国鉄型気動車キハ40では冬季に2両が必要だったが、キハ150では1両で済むことから、運用合理化に貢献した。今後の去就は不明だが、留萌本線石狩沼田~留萌間の最終日にキハ54とともに4両編成を組む予定だ。

H100形に置き換えられた富良野線の列車。2023年3月18日。H100形に置き換えられた富良野線の列車。2023年3月18日。

■廃駅は日高本線の1駅、函館本線南部の要衝が無人化

このほか、今回の改正では日高本線の浜田浦駅(北海道むかわ町)が廃止。函館本線の大沼駅(北海道七飯町)が無人化された。

浜田浦駅は1959年12月に開業した1面1線の無人駅で、63年あまりの営業で幕を閉じ、最終列車では地元の有志による見送りが行なわれたという。

今回の改正で廃止されたのは日高本線の1駅。写真は浜田浦駅が絡んだ乗車券。今回の改正で廃止されたのは日高本線の1駅。写真は浜田浦駅が絡んだ乗車券。廃止された日高本線浜田浦駅。1999年7月18日。廃止された日高本線浜田浦駅。1999年7月18日。

大沼駅は、私鉄の北海道鉄道だった1903年6月に開業した由緒ある駅で、北は渡島砂原回りと駒ヶ岳回り、南は仁山(にやま)回りと藤代線(七飯~大沼間の短絡線)回りが合流する運行上の要衝だったが、有人駅としてはおよそ120年で幕を閉じている。

駒ヶ岳をバックにした大沼駅構内。駒ヶ岳をバックにした大沼駅構内。
《佐藤正樹》

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