東風日産は2月17日、バイドゥが展開するAIシステム「文心一言(ERNIE Bot)」初のエコシステム・パートナーとなったと発表した。
ERNIEは2019年から導入されたAI言語モデル。その改良型であるERNIE Botは、OpenAIが開発したAIチャットサービス「ChatGPT」と似ていることから中国版ChatGPTとも言われ、内部試験が3月中に完了すると先日発表されていた。
バイドゥApolloも2月20日、公式WeChatでERNIE Botにおける東風日産ヴェヌーシアとの協業を発表した。
両者のプレスリリースでいくつかの違いがみられる。東風日産のものでは、あくまでもバイドゥとの協業であり、「Apollo」は出てこない。また、バイドゥApolloのものは東風日産でも「ヴェヌーシア」を強調したものになっている。東風日産のものには「ヴェヌーシア」は出てこない。
ERNIE Botのエコシステムは、バイドゥによればすでに400社以上となっているという。自動車に限らず、家電やネットサービスなど豊富な企業が集まっていると考えられる。その中で自動車関係はバイドゥApolloとしてERNIE Botを打ち出していくようだ。また、東風日産もそもそも電動化やインテリジェント化の先駆的な取り組みはすべて「ヴェヌーシア」に集約していく方針を示している。両者のプレスリリースの違いは、それぞれの前提による軽微なものなのかもしれない。
コネクテッドに注力してきたヴェヌーシア
それでは、どちらかと言えばすべてを網羅しているバイドゥApolloのプレスリリースを見ていく。前提として、バイドゥApollo及びバイドゥはERNIE Botでの他社協業ですでに多くのリリースを発しており、その文面はほぼ同一。今回の東風日産ヴェヌーシアとの協業プレスリリースも例に漏れない。
注目なのは、バイドゥがヴェヌーシアの東風日産における位置付けを詳述していること。もちろんバイドゥがヴェヌーシアの東風日産における位置付けを把握しているとは思えず、東風日産側から得た材料をもとに構成していると考えられる。その内容は、広州モーターショー2022で東風日産が発表したヴェヌーシア戦略と同一だ。
それによれば、「東風日産のインテリジェント化や電動化における先陣かつ実践者として、東風日産ヴェヌーシアは中国国内で最も早くからコネクテッドを探索してきたブランドの一つであり、中国ユーザーのニーズを満たすために、不断にコネクテッドシステムをグレードアップしてきた」「東風日産はヴェヌーシアを中心として、その厚い技術的蓄積を基に、完全に自主でコントロール可能なコネクテッド・プラットフォームを構築。より多くのパートナーと共同で、東風日産コネクテッド・エコシステムを作り出してきた」という。
また、「東風日産のコネクテッド搭載車はすでに400万台を超え、これを基盤にヴェヌーシアはコネクテッドのみならず、FCV含むパワートレインの拡充なども進めていく」とし、「今回ヴェヌーシアがERNIE Botエコシステムに加わったことは、対話式言語モデル技術の中国インテリジェント・ヴィークルのシチュエーションにおける成功を示す」とした。
ERNIE Botとの協業を発表した中国OEMは?
バイドゥApolloが発表しているOEMとの連携は東風日産ばかりではない。時系列でみてみると、バイドゥApolloは2月16日、中国国有OEM大手・東風汽車の高級新エネルギー車(NEV)新ブランドである「嵐図(VOYAH)」と前日15日までに協業したと発表した。