栃木県宇都宮市は2月21日、宇都宮ライトレール宇都宮駅東口停留場付近で2022年11月に発生した脱線事故の原因を究明する有識者会議の中間報告を公表した。
この事故は、下り線を宇都宮駅方向に進んできた3両連接のHU300形306号が、「シーサスクロッシング」と呼ばれるX字状の渡り線を通り上り線に進入後、宇都宮駅東口停留場2番線手前にあるR25の急カーブ上で脱線したもので、車両前頭部(下部の信号装置を含む)やパンタグラフ、脱線部分の車輪の一部、地上設備の一部が損傷した。


これを受けて行なわれた事故原因調査では、車輪がレールの下方向に押す力である「輪重(りんじゅう)」、横方向に押す力である「横圧(おうあつ)」、台車と車体にある台車ストッパーの接触状況が確認された。

その結果、「シーサスクロッシング」を抜けた車体が急カーブまで左右に旋回し、台車ストッパーと台車が強く当たったことで、カーブ外側への横圧が増加し、超過した遠心力で脱線に至ったと結論づけられた。

これに基づき有識者会議では、シーサスクロッシング上のS字カーブや停留場手前の急カーブでは制限速度が15km/hとされていたものの、双方が近接し過ぎていることから、速度を5km/hとすることが望ましいとされ、輪重を分散しカーブでの遠心力を軽減するカント量の見直し、軌間の調整などによる横圧分散なども提言された。


宇都宮市ではこの中間報告を受けて3月から対策工事を行なうとしており、その後に改めて試験を実施し安全性を確認するとしている。