JR西日本は2月10日、一部の機関車で自動列車停止装置(Automatic Train Stop=ATS)P形(ATS-P)の設定値が誤っていたことを明らかにした。
初期のATSは冒進事故(いわゆる信号無視)を防ぐため、線路上の地上子から車両の車上子へ一方的に送られる情報を基に走行・停止を判断していたが、警報音の確認処理を行なった後は機能しなくなる欠点があり、国鉄末期には速度照査型のATS-Pが開発された。
これは、地上子を通過すると停止信号までの距離を演算し車上子へ送信。車上ではブレーキ性能に応じた停車パターンを生成し、速度がパターンを超過した際に自動的にブレーキをかけるもので、2005年に福知山線で死者107人を出した脱線転覆事故が発生したことを受けて、2006年には曲線区間での速度照査にも対応するようになった。
曲線上では車両に応じて通常の制限速度に+αした設定値が定められているが、JR西日本ではこれについて、2011年の国土交通省令改正を受けた機能追加時に、電気機関車のEF65形5両、EF81形1両、ディーゼル機関車のDD51形5両で、所定の設定値より5~30km/hオーバーしていたことが判明したとしており、「当社の確認内容に不足があり、誤りに気付くことができなかった」と陳謝している。
当該の車両はすべて正しい設定値に修正済で、今後は受取検査時の確認方法を見直し、機器の機能確認を確実に実行するとしている。
