国土交通省はこのほど、「鉄道運賃・料金制度のあり方に関する小委員会」で7月26日に出された中間とりまとめを公表した。
鉄道運賃は、「適正な原価に適正な利潤を加えた額」が認可後の運賃による総収入を超えてはならないとして、運賃の収支均衡を担保する「総括原価方式による上限認可制」が1999年から採用されてきた。しかし、近年ではコロナ禍や人口減少、自然災害の増加、セキュリティー対策、老朽化したインフラの維持など、鉄道事業を取り巻く環境が大きく変化し、この制度が対応できなくなりつつあると言われている。
また、運賃改定を行なう際には運賃体系全体についての手続きが必要なことから相当な期間や作業コストも要し、ローカル線問題で言われている「地域モビリティの再編」への対応でも柔軟性を欠いていると言われている。
そこで7月26日の小委員会では当面の対応として、総括原価方式の算定方法を見直すこと、運賃・料金の認可を一定期間後に検証を行なうという条件付きで柔軟に対応すること、地域と合意できれば認可運賃とは異なる運賃設定ができる制度設計を行なうことが挙げられている。
これらについて斉藤鉄夫国土交通大臣は7月29日の定例会見で「早急に検討を進め、順次実現を図ってまいりたいと思っています」と述べており、小委員会でも当面の対応の結果を踏まえ、引き続き検討・整理するとしている。