新型コロナの感染再拡大に加えてロシアによるウクライナ侵攻、思うように賃金が上がらないまま食料品やガソリン急騰などで暮らしを直撃している物価対策が問われたほか、さらに衝撃的な安倍晋三元首相の襲撃事件……。
改めて民主主義の重要性が認識されるという、異常事態で投開票が行われた第26回参院選。結果をみれば、自民党が選挙区選、比例選とも着実に議席を伸ばし、単独で改選定数124の過半数である63を確保する一方で、立憲民主党は改選議席を大きく下回った。このため、争点にもなっていた野党がそろって掲げていた物価対策の中で消費税の減税は見送られたことになる。
参院選の開票速報のため、特別態勢をとったというきょうの各紙の1面は「与党大勝改選過半数」の大きな見出しがおどる。サブ見出しでも読売と産経が「自民1人区28勝4敗」に対し、朝日と東京は「1人区野党4勝28敗」と勝ち負けを自民と野党を入れ替えて伝えている程度の違いだが、気になるのは産経が1面トップで取り上げている「改憲勢力3分の2大幅超」。憲法改正に前向きな自民、公明、日本維新の会、国民民主党の「改憲4党」で、改憲の発議に必要な3分の2の議席(166議席)も維持したことだろう。
もう一つ気になる見出しは「黄金の3年」。今回の参院選で大勝し、一定の求心力を得た岸田首相が、解散・総選挙を選択しなければ、次の参院選が行なわれる2025年の夏まで、選挙を心配せずに国政の課題に取り組むことができる。ただ、朝日は「『黄金の3年』難題の改憲・経済」のタイトルで、「『聞く力』を掲げる首相だが、今後は具体策の実行と成果が問われる。先送りの『聞くだけ』政治は許されない」とも報じている。
2022年7月11日付
●参院選の結果、与党大勝改選過半数、自民1人区28勝4敗(読売・1面)
●新型コロナ感染全国で5万4068人、鳥取、大分で過去最多(読売・18面)
●自民改選過半数、1人区野党4勝28敗、投票率52.05%(朝日・1面)
●電力安定供給具体策に注目、需給逼迫見えぬ原発活用(産経・6面)
●「物価高考慮し投票」67%、出口調査、高齢層ほど顕著に(東京・3面)
●内閣改造、8~9月で調整、年内に経済対策・安保戦略改定(日経・3面)
●市場、円安対応に注目、「成長より分配」には警戒(日経・7面)
●政策課題の解決安定政権に期待、経済界、与党勝利を歓迎(日経・7面)
●TDR、最繁忙期値上げへ、来年度、ディズニーシー拡張時、値幅拡大で入園分散(日経・11面)
●上場企業の1億円プレーヤー、最多652人、企業別首位は日立(日経・13面)
●「宗教団体施設で試射」安倍氏銃撃、穴開いた板も押収(日経・18面)