パナソニック オートモーティブ社長が描くクルマづくり…ソニーと同じようなクルマはつくらない

パナソニックが開発を進めている車室空間
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パナソニックホールディングスの傘下で車載機器などを手がけるパナソニック オートモーティブシステムズは6月8日、記者懇談会を開催した。その中で、永易正吏社長は「パナソニックライフカー」をつくる考えを明らかにした。

電機業界ではソニーが電気自動車『VISION-S』を製作して話題になっているが、パナソニックがつくろうとしているクルマはそんな感じではないようだ。「ソニーやカーメーカーがつくっているようなクルマをつくるつもりはない。そこに私たちの価値はないと思っている」と永易社長は話し、こう付け加える。

「私たちはくらしや人に寄り添った形で、いろいろなものをつくって生きてきた会社なので、クルマについても人が快適に移動できる空間をクリエイトするような、車室空間のプロデューサーになるイメージだ。例えば、クルマの中をウィルスフリーにするようなソリューションや災害レジリエンスとしてのクルマの空間をパナソニックらしくプロデュースしていきたい」

どうやらパナソニックのエンブレムをつけたクルマを開発し販売していくのではなく、快適な車室空間を開発し、それを既存の自動車メーカーや新興のEVメーカーなどに売り込んでいくようだ。

パナソニックのオートモーティブ事業は、2021年度の売上高が前年度比5%増の1兆671億円、調整後営業利益が116億円増の23億円、営業利益が118億円増の13億円とようやくそれぞれの利益が黒字転換を果たした。22年度は売上高が19%増の1兆2700億円、調整後営業利益が156億円増の180億円、営業利益が166億円増の180億円を見込む。しかし、営業利益率は1.4%と低く、まだまだ構造改革が必要だ。

現在、オペレーション力の強化を目指して、受注・開発・量産・物流のすべてのフェーズで組織の壁を越えて連携し、商品力強化の仕組みと変化対応力を磨いているそうだ。目標は2024年度に車載コックピットシステムの開発生産性を21年度比で3倍に上げる。「とにかく開発のリードタイムを削減したい」と永易社長。

コックピット統合ソリューションとEVソリューションの分野では、メガティア1とも十分戦える実力を持っているそうで、「カーメーカーとともに、自動車の電動化やMaaSなどのモビリティ変革に貢献していきたい」と永易社長は話していた。


《山田清志》

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