太陽光発電では、雨天や雪の季節では発電できないという課題がある。また、日本のように山間部にパネルを設置することが多い国では、雪そのものがパネルへのダメージを与える問題がある。
ドイツに本拠をおく「サンブラッシュ(SunBrush)」は、ソーラーパネル用の清掃ブラシを手掛けるメーカーだ。「スマートエネルギーWeek春2022 / 太陽光発電展2022」では、S-Rackのブースに、日本向けに開発したという除雪車両システムを展示していた。

ベースは4WDの農作業用のトラクターだ。フロントに除雪プラウと、パネル掃除用の長いブラシがついたアームが取り付けられている。ブラシの角度はパネルに合わせて変えることができる。車両の全幅は1400mmとコンパクトになっている。国内に設置されるソーラーパネルの架台の間隔を移動できるサイズだ。車輪は三角のクローラーになっており、フロントの除雪プラウとともに雪に埋もれたパネルでもそのまま入っていって除雪が可能だ。1台あれば5GW規模の発電パネルを1日で除雪可能だという。

サンブラッシュは、もともと自動車向けの洗車ブラシを開発していたメーカーだ。ボディを傷つけないブラシの素材や技術は、ソーラーパネルの掃除にも応用可能として清掃システムを開発した。ドイツやEUでは、広大なソーラー発電所のメンテナンス等でこのような車両による清掃システムの市場があるそうだ。
日本でもソーラー発電のニーズの高まりから参入を決めたが、日本のソーラーパネルへの雪の積もり方は特殊なため、車両開発は、青森など雪深いソーラー発電所に持ち込み、試験を重ねた。そもそも海外では、山間部にソーラーパネルを設置することはない。ドイツでのパネル清掃は、冬でも除雪プラウは必要なく、クローラーである必要もあまりないそうだ。したがって、展示車両は本当に日本専用にカスタムメイドされたものだ。
