自律的に進化し続ける工場…実現のためのソリューション、パナソニックが提供

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  • オートノーマスファクトリー実現に向けた新製品群
  • モジュラーマウンター「NPM-GH」
  • スクリーン印刷機「NPM-GP/L」
  • パナソニックの樋口泰行専務執行役員

パナソニックは2月14日、現場プロセスイノベーションに関する記者説明会を開催し、電子部品を基盤に組み込むための工場の実装ラインで、AIを使った自動化ソリューションの提供を始めるとともに、実装機を2月16日から順次発売すると発表した。

樋口泰行専務執行役員によれば、この数年、製造業を取り巻く環境はデジタル社会の進展や人手不足、ビジネスのボーダーレス化、地球環境および自然災害への対応などでかつてないほど激しく変化しており、しかもその急変に対応できる機動力や柔軟性が求められているという。

そこでパナソニックは自社の強みであるエッジデバイスやセンシング技術、ロボティクスと、昨秋7600億円で買収した米ソフトウェア会社ブルーヨンダーのサプライチェーン・マネジメントを融合し、オートノーマスファクトリー(自律的に進化し続ける工場)のためのソリューションを提供しようというわけだ。

パナソニックでは、これを「オートノーマスサプライチェーン」と定義し、この実現を加速することで、それぞれの現場のロスや滞留を徹底的に削減し、顧客の経営改革にも貢献、資源の有効活用や現場の働き方改革など、社会課題の解決にも役立つと見ている。

今回発表したソリューションは製造分野の実装ラインにフォーカスしたもので、そのAIによる自動化は生産現場と計画立案の2つの領域からなっている。生産現場では、これまで人が行ってきた作業を自動化し、判断をAIで知能化することにより、バラツキを最小化したモノづくりを実現するとともにトラブルからの復旧も自動化する。一方。計画立案では、現場からのデータをもとに変動する需給に対応した計画を自動で立て、全体の収益性アップを目指す。

そして2月16日から発売する実装機はモジュラーマウンター「NPM-GH」、スクリーン印刷機「NPM-GP/L」、実装部品を自動供給する「Auto Setting Feeder」、5Mプロセスコントロール「APC-5M」の4機種。

NPM-GHは小型軽量化した実装ヘッドにより、高精度領域±15マイクロメートルでの高生産性と業界初の±10マイクロメートルの超高精度仕様を実現。さらに、操作画面の大型化によるユーザーインターフェースの改善と、前後同時操作など操作性を大幅に向上した。

NPM-GP/Lは印刷精度±3.8マイクロメートル、サイクルタイム12秒の世界トップレベルのはんだ印刷性能を実現。また、印刷用のマスクを最大10品種までストック可能な「マスクチェンジャー」をはじめ、はんだの自動供給・回収、基板を支える下受けピンの自動交換により、機種切り替えに必要な作業を自動化した。

Auto Setting Feederは業界で初めて4~104mm幅の表面実装部品供給テープに対して、カバーテープの自動剥離を可能とした、これにより、スキルレスでの実装部品の自動供給が可能になった。また、次のテープを供給するローディングユニットにより、前のテープが終了すると、即座に次のテープを自動で補給する。

APC-5Mは5Mのバラツキをリアルタイムに監視し、ラインの変化を検出する。蓄積されたデータに基づき、分析を行い、要因を特定し、経験則に従い、自律的に課題を解決する。しかも、この経験は蓄積され、使えば使うほど、顧客の工場の中で精度の高いシステムへと成長していく。

「今回の新プラットフォームを提供することにより、エッジ設備が自律的に稼働、連携する、24時間365日止まらない工場の実現を目指す」と樋口専務は話す。

パナソニックは現在、実装機の市場で業界トップの約3割のシェアを誇る。しかも、この市場は電気自動車(EV)の普及などで年率5%の成長が見込めるそうで、2030年度までに電子部品の実装機など製造設備事業の売上高を4000億円と、20年度から2倍に増やす計画だ。

《山田清志》

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